05
「うーん、やっぱり田舎くさい」
「そげんこつなか」
「熊本弁はなんかかっこいいからへなまずるい……」
「名字はむぞらしいから大丈夫やけん」
「!」
さっきは寝ぼけていたし意味を知らなかったから良かったけど今はもう頭もはっきりしているし意味だって理解している
こいつは恥ずかしい奴だ、そう思ったのも遅し、私の顔に熱が集中するのが分かる
「そういうとこがまずるいしょや……」
「あはは」
赤い顔を隠すように千歳のムネに顔を埋めればくすぐったそうに千歳が笑う
何で千歳は私なんかをここに連れてきたんだろう、あの時手を離してくれなかったんだろう、実に不思議だ、いっそのこと聞いてみようか
「ねえ、千歳は何で私をここに連れてきたの?」
「ああ、名字と話ばしてみたかっただけばい」
「あっそ、」
ただの興味ね、まあ私も千歳とは前々から話をしてみたかったからいい機会かもしれない、もちろん私も興味本位で、だけどね
でも今日はこんなに昼寝に適した場所を教えてもらえたし暖かい布団にもなってくれたので良い一日だった
と言っても携帯を見ればまだ午後一時くらいで学校も終わってない、でも今から学校に行くような時間じゃない
結局今日一日サボっちゃったなー、でも千歳は部活があったのではなかろうか、じろっと顔を上げて千歳を見る
「どぎゃんしたど?」
「千歳部活は?」
「テニス部ばい、でも今日も行かん、名字と一緒にいる」
「ダメ、行きなさい」
「いやだ」
「このたくらんけが、だはんこくな!」
千歳の上から退いて千歳を無理やり起こして渇を入れてやる、テニス部って結構有名だ、というか白石の友達だからその有名さは良く知っている
確か毎年全国大会に出ているくらい強豪だとかなんとか、あいつの話は半分くらいしか聞いていないのでそれくらいしか覚えていない
仮にもそんな凄い部活の部員ならばサボるという行為はダメなのではないだろうか、私はよく分からないけど運動部は規則が厳しいって椿が言ってた
「ほら行きな、今から行けば間にあるだろうから」
「名字は?」
「……帰って寝る」
「えー! 名字が来てくれにゃあ行かにゃー」
「……」
熊本弁よくわからない、でもこれはきっと私が行かないと千歳も部活に行かない、ということでいいのかな
しょうがない、もともと学校に行くつもりで家を出たし、帰っても何も無いし、着いていくかな
はあ、とため息をこぼせば千歳が反応する
「名字も行くど?」
「しょうがない、いいよ、行く」
「そうと決まれば、ん」
「ん?」
「手!」
「て?」
「手ば繋ぐばい!」
本当にでかい子供ね、差し出された左手を右手でつかめば千歳は満足したのか歩き出した
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