09
初夏の暑さにも負けずテニス部は元気だった、他の試合も終わりを告げた
「あ、白石、スコア表返す」
「おおきに、すまんな、部外者なのに手伝わせてもうて」
「別に、帰ったところで暇だったし」
「さよか、名前がマネージャーやってくれたらええのに」
「めんどい」
「考えといてなー」
「……あ、白石、これあげる」
白石にスコア表と一緒に試合をしていた部員分のメモをしたルーズリーフを手渡せばそれを見た白石が驚きの声をあげた
「おま、名前、これ……!」
「要らなかったら捨てていいよ」
「いやいやいや、自分ほんまにマネージャーやってや!」
「えー」
白石にマネージャーをやれと言われても朝練とか出る気ないし、それとなく断り続ければ白石が折れた
ため息混じりに練習の終了を部員に告げれる、すると他の部員と練習していた千歳が走って近寄ってくる、子供みたいで可愛い
「名字! 一緒に帰るばい!」
「ふふ、わかったから早く着替えておいで」
そう言ってやれば部室まで走っていった、今の千歳に犬の尻尾が生えていたら勢いよく揺れているのだろう
私も懐かれたものだな、今日、初めて話したのに千歳は話しやすくて一緒にいるのが心地良い、不思議で仕方がないくらい
まだ部活をしていたいと駄々をこねる金ちゃんを白石が説得している、部長は大変だな
どうにかこうにか金ちゃんを説得したらしい白石は疲れた様子でベンチに座った
「部長さんお疲れ」
「ほんま、あのゴンタクレ抑えんのも疲れるわ、まじでマネージャーやってえや」
「考えとく」
「お、一歩前進や、あ、そや、名前って千歳と仲良かったん?」
「いや、今日初めて喋った、曲がり角で千歳とぶつかって一緒に学校サボって公園で寝てただけ」
「……ほーん、千歳も隅に置けへんなぁ」
私自身、今日一日で千歳とこんなに仲良くなれるなんて思ってもいなかったけど、白石がにやにやし始めたのがむかつく
うざい、そう一蹴してやろうと思っていたが着替えた千歳が部室から出てきたので出かけた言葉を飲み込む
「名字、帰るけん」
「うん」
当たり前のように左手を出したので私も右手を出して重ねる、部活でいっぱい動いたからか千歳の手は暖かい
「千歳、名前は鈍いから頑張りや!」
「し、白石! ちぎゃーし、そぎゃんことなか!」
「ははっ、照れんでええて、それじゃお二人さん、気ぃ付けてなー」
相変わらずにやにやしている白石に別れを告げ、私たちはテニスコートを後にした
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