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「あ、スーパー寄りたい」

 千歳との帰り道、聞けば千歳は夕飯を決めていないらしいので私の家で一緒に食べることにした
 ただ冷蔵庫に二人分の食材がなかったことを思い出したので帰り道にあるスーパーへと足を運んだ、晩御飯は何がいいかな
 カートにカゴを入れて野菜コーナーから見ていく、あ、ほうれん草が安い、買いだな

「千歳、夕餉は何食べたい」
「……名前」
「は? 何言ってんの?」
「俺も名前って呼びたか」
「……ふふ、別にいいよ」
「! 名前、名前名前!」
「うっさい! もう、そんなことで悩んでたんかい?」

 白石が私のことを名前で呼んだあたりから百面相していたのはこれが原因か、私は別に名前で呼ばれることに不快感はないんだから呼べばよかったのに
 千歳は、ばれとったばい、と照れくさそうに笑って私からカートを奪った、カートを押してくれるらしい、優しい

「あ、なすび無かったんだ」
「なすびって北海道弁ど?」
「そうらしいね、こっち来て初めて知った」

 どうやら私は千歳と一緒にいるときは方言がでてしまうらしい、千歳も方言丸出しだから気が緩んでしまうのだろう
 私がもう一度何が食べたいか聞けば、馬刺、と元気よく返ってきた、馬刺ってなんか渋い
 あれば入れていいよ、そう言った途端千歳はお肉コーナーに走っていった、部活の後だというのに元気が有り余ってるなあ
 カートは千歳が押していってしまったので私は仕方なく新たに購入する食材を持って歩く、ちなみに豆腐とネギだ
 しょんぼりと千歳が戻ってきたので馬刺が食卓に載ることは無いと悟った、今度馬刺があったら買っておこう

「千歳どんまい」
「馬刺……」
「今日は麻婆茄子とほうれん草のお浸しにしよっか」
「うん、あ、オムライス食べたか」
「じゃあオムライスも作ってあげるから機嫌直して」
「名前ー!」
「店の中で抱きつかない」

 ただでせさえでかいから目立つのに、恥ずかしいから抱きつかないで欲しい、というかこのやり取りは今日出会った奴らとは思えない、まあ、それだけ気が合うということにしておこう
 その後も適当に食材をカゴに入れていきお会計を済ませた、調子に乗っていっぱい買ってしまった、エコバッグ二つ分
 千歳が重たい方を持ってくれた、それから左手を私に差し出す、私は軽い方のエコバッグを左手で持って右手を千歳と繋いでスーパーを出た

 数分後、過保護な親が買ってくれたマンションに着いた、これくらい私は普通だと思っていたが千歳の様子を見る限り普通とは違うらしい

「(か、金持ちのマンションばい……!)」



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