天使のような悪魔
いざ買い物に行かんと玄関に足を運ぼうとしたところを風介に腕を掴まれた
「ん、風介どうしたの?」
「早く行こーぜ」
「お前らその口調を止めろ」
「えっ、なんで……?」
「仮にも休日の買い物だぞ、怪しまれるのは目に見えている」
風介の言うとおりだ、こんな状態を知り合いに見られでもしたら大惨事だ、しかもこの状態がいつまで続くか解らない以上お互いのフリをしなくてはならないのだ
とりあえず俺は名前らしく、名前は晴矢らしく過ごすことを余儀なくされた、普段から一緒にいる相手だし、なりきるのはそう難しくないと思う
「い、行こうよ」
「お、おう、そうだな」
「ぎこちないな」
補充しなくてはいけない生活用品やら一週間分の食材やらを買いに大型スーパーに入る、財布やらは名前が持っていて俺はカートを押すだけ
「まずは卵だ、行ってこい」
「おい、は、晴矢、私は今女なんだから、行ってよ、ね……!」
「それもそうか、風介行くぞ」
「ああ」
いざ、と二人は安売り卵に群がるおばさんたちを掻き分けて行った、いつもは俺が取りに行くのだが今日は勝手が違う、俺の身体だからか名前は風介とすいすいと中に入っていった
俺はというと一人で頬を熱くさせていたいくら名前の身体だからって女口調はどこか気恥ずかしくてカートを掴んだ手が微かに震える、なにこれはずい
一人で悶々としていたら程なくして名前と風介が卵を抱えて戻ってきた、余裕の笑み付き
それからは冷蔵庫に必要なものを買っていると午前はあっという間に終わっていて、俺たちは適当な店でランチにすることにした
「あ、風介、ここは俺が奢る」
「ありがとう、惚れ直したよ」
「お前らまじやめろ」
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