ハンターポケット
アサメを出てメイスイを歩き回り、二番道路へと向かう。途中で山登りをするような大荷物を持った人が話しかけてきた。どうして話しかけてきたのかはわからない。
セイが退屈そうにあくびをしたのがわかった。自分は楽してるくせに…別にいいんだけど。
コウは物珍しいものばかりで好奇心が疼くのか、忙しなく首を動かしているらしい。頭上からの振動がすごいことになっている。
「コウ、セイ、重い」
「ろこー」
「ぶっ、ぶいっ」
声をかけようとも降りようとしないセイと、慌てて降りようとして落ちそうになるコウ。仕方なく両手に抱えて二番道路へと踏み出した。コウに関しては危なっかしくて歩かせられない。
特にあてもないまままっすぐ進めば、そこにはサナちゃんとセレナちゃんがいた。
「あっ!コト!」
「二人共、もうとっくに先に進んでるかと思った」
「コトは意外に早かったわね。というより、その二匹は?」
旅に慣れてないと荷物をまとめるのすら難しいから、もうちょっと時間がかかると思われたんだろう。母さんは旅慣れしてないね、うん。
二人の視線はセイとコウに向いている。この辺には住んでいないポケモンだし、手持ちが増えていることに関しても驚いてるんだと思う。それとボールに入ってないということも。
「この子達は僕の家族だよ。こっちがロコンのセイ、こっちはイーブイのコウ」
「かわいーっ!」
「この辺りでは見ないポケモンだわ…」
「人づてに聞いたけど、イーブイはカロスにもいるらしいね」
ロコンは別の地方には住んでるらしいんだけど、カロスではほとんど見かけることはないらしい。ちょっと残念だ。
目を輝かせるサナちゃんとセレナちゃん。コウとセイからもアプローチするように軽く小突いたけど、あまり乗り気じゃないみたいだ。特にコウが。重度の人見知りだから仕方ないのかもしれない。
二人は何してたの?と僕が聞くと、どうやらポケモンを捕まえようとしていたらしい。サナちゃんは特にポケモンを捕まえたことがないから、セレナちゃんからコツを教えてもらっていたのだ。
「コトも一緒に教えてもらおうよ!」
「え?いや、僕は捕まえれる…」
「もーっ!意地っ張りはいいから!」
「え、だから、」
別に僕は教えてもらわなくても捕まえたことがあるんだけど。サナちゃんは人の話をきかないところ、直したほうがいいと思うよ…。
セレナちゃんはもういうことを諦めたのか、息を吐いて草むらに足を踏み入れた。ほら、サナちゃん今捕獲してるから。見たほうがいいよ。
そのときちょうど出てきたのはホルビー。耳がよく発達しているという話で、穴を掘ったり耳で攻撃したりと多彩なことができるとか。見た目も結構愛らしい。ミミロルは本当に女の子に人気な風貌だけれど、ホルビーは男の子にも少しだけ扱いやすそうなものだ。
腰につけていたボールからヤヤコマを出したセレナちゃんが対峙する。
「まず、捕まえたい時には相手を疲れさせること」
「疲れてたら抵抗力が低下するからね。でも、瀕死にまで追い詰めちゃうと逃げちゃうから、そこは見極めが必要かな」
ヤヤコマが不意打ちでホルビーに体当たりをかました。灰色の毛に包まれた体が僅かによろめく。
すかさずそこでホルビーから鋭い眼光が飛ぶ。一瞬ひるんだヤヤコマだったけど、臆することなくもう一度体当たり。次はホルビーも素早く横に避けた。
「へー…なんだか難しそう」
「習うより慣れろっていうし…サナちゃんも捕まえる特訓、してみる?」
次々とヤヤコマに指示を出していくセレナちゃんを見ながらサナちゃんに提案する。うーん、と悩む声がとなりから聞こえた。
しかし、僕もポケモンを捕まえなきゃいけないことは確実だ。どんなポケモンにするべきか…できれば可愛いのがいい。
このあたりで出るポケモンを知らないからどうともいえないけれど、母さんが捕まえていたことからして、ヤヤコマは出るみたいだ。セレナちゃんも使っていたのがいい例である。
なんとか捕まえたらしい、勝利のモンスターボールを握り締めながらセレナちゃんがこっちに向かってきた。
「まあ、一度捕まえてみることは実践したほうがいいわよ。ハクダンの森くらいまでなら投げれば捕まるし」
「ハクダンの森か…いいポケモンいるかな」
僕の好みに合う姿のポケモンがいればいいんだけど。ムキムキだったりするのは強いけど、あんまり好きな部類じゃない。基本的に愛でる方面が強いし。
独り言が聞こえていたのか、セレナちゃんが森で主に出てくるポケモンを教えてくれた。