初対面の再会

「さぁ、着きましたわよ!」

「この建物が、プラターヌ博士の研究所…」

ミアレにあるというだけあって小洒落た雰囲気を放っている。僕が入ってもいいものだろうか。
先輩たちは僕が迷わないように、と、プラターヌ博士の研究所まで案内してくれた。ティエルノくんやセレナちゃんたちは大丈夫かな。ミアレまで頻繁に来てるってわけでもなさそうだし。

押しが強い性格らしいジーナさんは、中々研究所に入らない僕にしびれを切らしたのか、女子とは思えない力で僕の背中を押す。
半ば無理やりといっても過言じゃない入り方でドアをくぐった後に、博士の研究室は三階だと教えてくれた。早く行けという言外の圧力がかかる。

もう少し見ていたかったな。そう思っても受け入れてもらえないので、おとなしくエレベーターに乗り込んで3のボタンを押した。

「やあ、やっと会えたね!」

エレベーターのドアが開くと同時に見えた人物。くせ毛らしい巻かれた前髪をひと房垂らし、元々少しタレ目らしい目を細めて穏やかに笑っている。無精ひげははえているものの、それを不潔だと感じることはない。むしろ小洒落た雰囲気だ。
白衣がよく似合っていると思う、この人がプラターヌ博士だろうか。

「よーし、こっちにおいで!」

博士らしい人は、奥に走って行って僕を呼んだ。奥の方は仕切られていて見えない。
きっとセレナちゃんたちはもう到着してるんだろう、そう思いつつ、好奇心に負けて奥の方を覗き込んだ。そこには博士がいるだけで、他の四人の姿は見えない。

もしかして、セレナちゃんたちとは入れ違ってしまったんだろうか。だとしたら僕だけ相当遅れてしまったことになる。なんてことだ、まさかこんなことになるなんて。
どこまで走ったら追いつけるかを考えつつ、特に罠というわけでもなさそうなので奥へと足を進めた。

「アサメタウンから遠路はるばるこんにちは!ぼくはプラターヌ!
ポケモンとの旅は楽しいかい?いろんなポケモンに出会った?」

ちょっと図鑑をチェックしたいな!とプラターヌ博士は手を差し出してきた。先ほどデクシオさんに見られたばかりなので、それほど抵抗もなく手渡す。
この人が、プラターヌ博士。僕たちや先輩たちに図鑑を手渡した張本人であり、カロスで一番有名な博士か。ミアレに住むだけあって、随分とお洒落な博士に見える。

僕の図鑑をチェックした博士は、ふむ、とだけ呟いて僕にそれを手渡してきた。

「そこそこ埋まってきているね!キミにはキラメキがある!とにかくいい感じー!」

「は、はぁ…」

きらめきとは。博士は僕の疑問を察することなく言葉を続ける。

博士はどうやら、ポケモンを託すにあたって、一つの町に一人ずつにしようと考えていたらしい。
僕が引っ越してきたアサメタウンなら、博士の知り合いであるベテラントレーナーの子供。つまりセレナちゃんが選ばれていたと。

そこにたまたま少し有名だった母さん…サイホーンレーサーサキ、と、その子供である僕が引っ越してきたと。
博士が僕を選んだ理由は、僕がこのカロス地方をよく知らないからだったという。

「それがグッドポイントだったってわけ!」

多分、博士は他の地方から引っ越してきた僕にカロス地方を見て回って欲しかった。だから引きこもり予備軍だった僕にポケモンを託してここに呼んだんだろう。
僕からしてみれば、少し余計なお世話というか。別に僕はカロスを知りたいとは思っていなかったし、旅がしたいとも言っていない。家に帰りたい気持ちでいっぱいだ。

だって旅をしなければ、あの日みたいなことは簡単には起きない。
博士から見たら相当ひねくれた子供だろうな、そう思いつつ、気の抜けた返事を投げた。

「博士!サナでーす!」

「お待たせしました」

と、そこに高い声が響く。サナちゃんとセレナちゃんがこちらの方に走ってきていた。
あれ、二人共着いてなかったんだ。もしかしてミアレの街を色々と回っていたんだろうか。女の子にはショッピングとか、色々やることがあるって聞いたこともあるし。

博士も二人の姿を認めると、明るい声で「それじゃ、バトルしよっか!」と声高らかに宣言した。