パートナーと僕
「そうだ、そろそろ本題に入ろう!」
ハッとしたようなティエルノくんの言葉に、さっきまでぶすっとしていたサナちゃんが目を輝かせた。多分ニックネームのことは頭から飛んでいったんだと思う。
隣を見るとセレナちゃんもそわそわしていて、よっぽど自分のポケモンが欲しいんだなと思わざるを得なかった。まあ、ポケモンがもらえるってことは一人前と認められたって証でもあるからね。
ティエルノくんが出した箱の中には、三つのボールが入っていた。
左から、草タイプのハリマロン、炎タイプのフォッコ、水タイプのケロマツが入ってるらしい。なんでみんな同じポケモンじゃないんだろう。これで取り合いが起きたらシャレにならない。
「どうしよう、どの子も可愛くて迷っちゃう」
「そうね…コト、最初に選んでいいわ」
「え?いや、二人が選んでいいよ。僕は特に希望とかないし」
それにレディーファーストっていう言葉もあるし。
どれもこの辺に出てくるポケモンと相性が悪いわけじゃない。あ、でもハリマロンは飛行タイプの技に弱いかな。でもそれだとケロマツなんかは草タイプに弱い。フォッコも微妙なところだ。
悩む二人を尻目に、腰についているボールが揺れているのを抑える。いつもはボールに入ってないから耐え切れなくなってるんだろうけど、できたらちょっと待って欲しい。
「…決めたっ!あたしはケロマツちゃんにする!」
「なら私はフォッコにしようかな。よろしくね、フォッコ」
「これで決まりましたね。コトさんも、いいですか?」
「うん。よろしくね、ハリマロン」
手持ちのポケモン、ゲットだぜ。
ハリマロンもいろんなタイプの技を覚えてくれるから、手持ちのタイプとしてはいい。炎タイプのフォッコもいいんだけど、一応セイがいるから燃やすことはできる。
早速ボールから出したハリマロンが擦り寄ってきた。うん、いいんだけど、いいんだけどね、上の装飾みたいな部分がチクチクして痛いよ。
「コトはニックネームをつけるの?」
「ハリマロンに?」
「そう!あたし、この子はケロっちってつけたよ!」
「私はそのまま呼ぶことにしてるから」
ケロっちとは、またびっくりするような名前を。
「じゃあ安易に、リマって呼ぶことにするよ。名前は呼びやすい方がいいし」
僕、主要の手持ちには名前つけたいタイプだから。あんまり悩んで凝ったものをつけると恥ずかしくなりそうだし、二文字取って呼ぶほうがわかりやすい。
セレナちゃんとサナちゃんもそれぞれもらったばかりのポケモンを膝に乗せてなでている。やっぱりこういうところは年相応でいいなぁ。
「そういえば、僕も博士から預かってきたものがあるんです。謂わばポケモンを深く理解するための、大切なものです」
トロバくんが差し出してきたのは何かの機械だった。リマに向けて翳すと反応し、説明文が浮かび上がる。
つまりこれは…ポケモン図鑑?
トロバくんが言うには、これは出会ったポケモンを自動的に記録していく機械で、博士は僕たちに色々な地方を旅してもらって、この図鑑を完成させて欲しいらしい。とは言っても強制というわけでもないみたいなんだけど。
きっと重大なミッションだ、と言うトロバくんはあまりにも物事を重く考えすぎてるきがする。
「それと、コトはこれ。博士がママに渡してだって」
「…手紙?」
「多分、まだ事情を話してなかったからじゃないかな?」
ああ、まだポケモンをもらったことも知らないんだっけ、母さん。そういえばコーンスープまだ食べてない。帰ったら食べてから旅に出よう。
ティエルノくんとトロバくんは用事が済んだから、とポケモン探索に行ってしまった。僕もそろそろアサメに帰ることにする。
座っていた席を立ち、軽く挨拶をしてアサメの方に足を向けた。
「コト、待って!帰る前にデビュー戦の相手をお願いしちゃうんだからっ!」
と、サナちゃんが引き止めてきた。どうやら僕のご飯はまだまだ先らしい。