何とも言えない君と僕

 ※頂き物「出会う」のその後の話になります


「き、今日はいい日だったね!」
「…」

「な、なんでか私の不運もあんまりなかったし…」
「…」

「え、えっと…その、…ごめんなさい」
「…はぁ」

必死に今日のことを語って盛り上げようとする彼女にため息を返す。彼女にとってはとてもいい日だっただろうが、俺にしてみればちょっと不運が続いた日になっている。
本日出会ったのはひとりの少年だった。左耳にかけた虹色に光るピアスが特徴的で、森を思わせる深い緑色の髪と暗く光るミディアムバイオレットの瞳。そして全身から溢れ出る、倦怠感。

リブレと名乗ったあいつと出会ったこと自体は別に良かった。なぜかいつも不運に見舞われるサチコも怪我をすることなく昼間を過ごせたし。
恐らくサチコが超不幸体質だとすれば、あいつは超幸運体質かなにかなのだろう。

ただ一つ不満なのは、サチコはリブレといたら一番いいのではないかという仮定を突きつけられたことである。

俺は不幸体質でも幸運体質でもない、どんなに頑張ろうと精々過去の記憶を持っている頭のおかしい奴だ。無論サチコの不幸体質を直すことはできない。
つまり、俺はそれを一日でやってのけたあいつが少し気に入らない。

俺のほうがサチコと友達になるのは早かったんだぞ、と言いたいところだが、サチコがリブレと仲良くなってしまったので俺がそれを裂くわけにはいかない。
しかもサチコがリブレとずっと話していたおかげで、余波らしいものが俺を襲っていたりする。些細なことなので気にすることすらしないが。

で、サチコはその余波が俺の機嫌を損ねていると考えているわけだ。

「ど、どうしたら許してくれる…?」

前髪がひどく短くなってしまった彼女は随分と表情が見やすくなった。前は髪を切るのにも一苦労してたせいで、サチコが遠慮して髪を切る回数を減らしていたっけ。
これはグリーンさんの影響か。いい方向に向かい始めたのはいいが、俺がサチコと友達になってサチコにできたことって、…ないな、うん。

もういっそ俺とリブレが交代すればサチコだって普通の生活を送れるんじゃないか。そうだ、今度持ちかけてみよう。

おびえているわけではないだろうに震える彼女に苦笑をこぼし、猫っけで手触りのいい髪を撫でる。強くすると力の弱いサチコは「あう」「ひゃっ」など様々な悲鳴をあげながら前後に頭を揺らした。

「別にどうもしなくていい」
「えっ、でも…」
「お前が笑ってるだけで十分だからさ」

とにかく、サチコに心配をかけさせるわけにもいかない。これは俺の問題だ。
戸惑う彼女に笑いかけたあと、とりあえず今日起きたことをグリーンさんに話したら機嫌を損ねそうだと考えて頭を抱えた。


何とも言えない君と僕
(俺は生きて明日を迎えられるだろうか)