大切な友達だから
今日は、彼がスクールに顔を出してくれる日だから、いつもいつも助けてくれる彼に感謝の気持ちを伝えたくて、チョコレートを用意した。
「し、シズク君…!」
「ん?何、サチコ。」
「あ、あの、これ!貰ってください!!」
思ってたより大きな声が出てしまって、シズク君の近くにいたクラスメイト達が騒つく。
思わず小さくなってしまう私の手からシズク君がひょいっと箱を取っていく。
「…これ、手作り?」
ぽつりと言うシズク君に頷いて答えようとすると、それよりも先にクラスメイト達がシズク君を囲んだ。
「おい、やめておけよシズク!あんな不運女の作ったチョコなんて食ったら腹壊すかもしれねぇぞ!」
「いや、お腹壊すだけならマシさ…死だってあり得る。」
「うわ、呪いだ!呪われるぞー!」
ワイワイとシズク君を囲んで騒ぐみんなの言葉に思わず服をぎゅっと握って俯く。
そして、輪の中心にいるシズク君からチョコの入った箱を奪った。
「あ、おい!」
「ご、ごめんね、シズク君!」
まっすぐシズク君が見れなくて、箱を掴んだまま、俯く。
「いつも、バトル練習付き合ってくれるから、感謝の気持ちを伝えたくて…あの、最初はデパートのチョコ売り場に行ったんだけどレジが故障しちゃってて会計出来なくて…洋菓子屋さんに行ったら、ショコラティエさん急病とかで何も売ってなくて………や、やっと、スーパーで買えた板チョコを、で、デコレーションして渡そうと思ったら、家に帰る途中で転んで割っちゃって……な、なんとか渡せるものにって思って、じ、自分で作ったんだけど……」
私の手作りなんて、食べたら運悪くなっちゃうもんね。と、じわりと浮かぶ涙を零さないように必死に笑顔を作ってシズク君に笑いかける。
すると、みんなの輪の中からシズク君がずかずかと出てきて私の腕を掴む。
「くっだらねぇ…」
「え?」
「くだらねえって言ってんの。チョコ食ったくらいで呪われたり死んだりするもんか。」
きっぱりとそう言って、シズク君は私の手に掴まれていた箱を開けて、中に入っていたトリュフチョコを1つ取るとそのままパクッと口の中に入れる。
「し、シズク君…!」
「ん、美味しい。サチコ料理上手だもんな。」
ありがとう。と私に笑ってから、シズク君が呆然としているクラスメイト達の方を振り返る。
「女の子からチョコ貰えないからって、僻んだり嫌がらせしてたんじゃ好きな子からなんて一生貰えないからな。」
「「「なっ」」」
固まるクラスメイトにべっと舌を出して、そして、また私の方を向く。
「これ、全部貰っていいんだよな?」
「え、う、うん…シズク君にお礼言うためのチョコだから…」
「よし、じゃあさ、エンジュのお茶屋で抹茶たててもらおうぜ。絶対合うから。」
そう言うとシズク君は私の手を引いてスクールの出口を目指す。
私は、思わずまた、お礼を言っていた。
「シズク君、あ、ありがとう…!」
「友達だからな、当たり前。」
(そういって笑うシズク君はとても素敵な人だと思いました。)
(私と友達でいてくれて、ありがとう!)