「うわ……夜の学校ってやっぱり雰囲気あるね」

 そう言って辺りをきょろきょろ見回す名前を見て、あ〜!やっぱり制服姿の彼女と2人で夜の学校とか興奮する!と、俺は違う雰囲気を楽しんでいた。忍び込んだのは俺たちが通っていた母校。「無断で入るなんて危なくない?」なんて言っていた名前も、今はもうすっかり楽しんでいる様子で「見てみて!私たちの教室!」と無邪気な笑顔を浮かべて俺の制服の袖を引っ張っている。

「へえ、すっげ懐かしいね」
「あ、でもやっぱり鍵かかってるみたい……」
「あー、だよね」
「残念だなぁ、ちょっと入れるかなって期待してたのに」
「入りたい?」
「え、そりゃあ入りたいけど……」
「まぁ、こんな事もあろうかと……じゃーん!」

 効果音つきでポケットから取り出したのは、昔しょっちゅうお世話になったスペアキーだった。

「え!何で持ってるの?!」
「六つ子の長男舐めてもらっちゃ困るね〜」
「……さすがあの問題児松野六つ子の長男」
「問題児は余計だろ?」

 軽口を叩きながら鍵を差し込めば、扉はガチャリと無機質な音を立てて開く。いたずらっ子みたいに2人でにんまりと顔を見合わせて、それから教室の中へと足を踏み入れた。

「わあ、全然変わってないね!」

 名前が言う通り教室の中は俺たちが授業を受けていたあの頃とあまり代わり映えなくて、懐かしさに浸りながら室内を歩き回る。

「んー……あ、ここ!私この席座ってた!」
「ってことは俺はその隣の席ね」
「そっか、おそ松と私隣同士だったもんね」
「そうだよー?こうして座ってさ……」

 言いながら、それぞれ学生時代に自分が座っていた席に腰を下ろした。隣を見れば、あの頃毎日見ていた光景が目の前に広がるみたいに、懐かしさが胸に押し寄せてくる。昔よりも少し髪の伸びた名前が、それでもまだあどけなさを残した表情で笑った。

「なんだか、高校生に戻った気分」
「俺たち今制服だしね」
「制服とか久しぶりすぎて恥ずかしいけど……」
「制服姿の名前もすっげーかわいい」
「……恥ずかしいってば」
「まぁこれは高校の頃から思ってたんだけど」
「またそういう冗談ばっかり言う」
「本当だって!ずっと授業中とかチラ見してたからね」
「……変態」
「男は皆そういう生き物なの」

 あ、そうだ。話しながら思い出したように、俺は机を少し持ち上げて名前の方へ席を寄せる。「え、どうしたの?」と驚いている名前を横目に、机をぴったりとくっつけて一気に近くなった距離に自分自身すこしドキドキしてしまう。

「たまに教科書忘れたって言ってさ、こうして授業中机くっつけたりしてたじゃん」
「う、うん」
「あん時、ラッキーって思いながらもめちゃくちゃ緊張してた」
「……そうなの?」
「だって距離近いし、なんか超いい匂いするし」

 割と真面目に言ったその言葉も名前には冗談に聞こえたのか「えーやだ、変態くさい」と言いながら笑っていた。それを間近で見ていると、ああ本当に俺こいつのこと好きだなとか、学生の頃から変わらず好きなんだよなとか、気持ちがどんどんと込み上がってくる。

「名前」
「なに?」
「あん時って言ったけど、さ」
「……う、うん?」
「今も結構緊張してる」

 目を見つめながら言ったその言葉は、今度こそしっかりと伝わったらしく、名前が少し驚いたようにこちらを見つめ返した。そしてすぐに逸らされる瞳を逃さないように、片手を頬へ滑らせる。

「ちょ、おそ松……」
「あと今もいい匂いするし」
「恥ずかし、い」
「制服姿もすっげーエロい」
「そういう事言わな、んっ……!」

 結局逸らされてしまった目は、本当に照れているのかこちらを見ようとはしなかった。構わず唇を奪おうかと思ったが、それは後のお楽しみにとっておこうと、キスはしないまま名前の耳元へ唇を寄せる。そのまま軽く噛み付けば、びくりと肩を揺らして俺の制服を握った。

「ん、っ、だめ、おそ松……!」
「ダメなのは名前だよー?学校でそんなはしたない声出して」
「だって、耳……や、そこ、やだぁ」

 忍び込んだ学校で、しかもかつて自分たちが授業を受けていた教室で、その頃と同じ制服に身を包んでの行為は、そりゃあもう底知れない背徳感があった。服が擦れる音一つでも興奮が高まっていく。さっきまであどけない表情をしていたはずの名前は、学生時代には想像もできなかったほどに大人びた顔をして俺を見上げる。

「耳が嫌ならここ?」
「あっ、ばか、違う……!」

 制服の上から胸を手のひらで包み込んでおどけたように言ってみれば、名前は怒りながらも顔を真っ赤にした。怒りで、ではなく恥じらいでだ。若干潤んでいる瞳をこちらに向けられて、自然と笑いがこみ上げてきて口元に力が入らなくなる。

「あ、そうだ」
「ん、や、なに?」
「俺のこと昔みたいに呼んでよ」
「え?」
「ほら、おそ松くんって」
「ひゃっ……!ちょっと!喋るか手動かすかどっちかにして!」

 思いついたことを提案しながらも遠慮なしに服の下に手を滑り込ませていたら、案の定怒られてしまい俺は口を閉じる。ちぇっ、なんだよ。だってあの頃と同じ呼び方されながら制服エッチとか最高じゃん。とりあえずは反論する彼女の余裕を奪ってしまおうと、下着のホックを外した。それから服の中から手を抜いて、制服のボタンを途中まで開けていく。

「な、なにして……」

 怪訝そうな顔をこちらに向ける名前を無視して、制服から覗いている薄い水色の下着を上にずらした。その瞬間、ごくりと息を飲む。学校もののAVを見ながら散々名前と重ね合わせていたその光景が、今目の前に存在しているのだ。

「ね、あんまり見ないで……」

 乱れた制服姿で、目を伏せながらも俺の服を掴んでいるそのいやらしく愛らしい姿に息がつまった。耐えきれず薄いピンク色の突起を口に含んで、舌先で丁寧に転がしていく。だんだんと硬くなっていくそれと伴うように、次第に我慢しきれなくなった声を漏らす名前がどうしようもなく可愛くて、空いている左手で彼女をぎゅっと抱き寄せた。

「んっ……や、ぁ、おそ松っ」
「だからおそ松くんだってば」
「でも、恥ずかしい、から」
「今もうこーんな恥ずかしいことしてるのに?」

 口から突起を離して、代わりに親指に唾液をまとわりつかせながら刺激を与えれば、名前は体をびくびくと跳ねさせながら俺を見つめる。今にも蕩けそうな目を見て、もう少し、あとひと押しと、もう一度耳元へ唇を寄せた。

「ちゃんと呼ばないとずっとこのままだよ?」
「はあっ、や、やだ……」
「ここだけじゃもう我慢できないんじゃないの?」
「ふ、んぅ……ちが、やんっ!」

 ピンッと弾くように突起に触れたあと、まだ今日1度も触れていない場所へと手のひらを滑らせる。太ももを伝ってゆっくりと短いスカートの中へ手を忍ばせれば、自分の手の動きすらその布に隠され、本当にいけない事をしている気分に支配されていった。とん、と指先がぶつかった場所を、布越しに指でつっとなぞれば名前の肩はまた小さく反応する。

「んっ……そこ……」
「ここ触ってほしくない?」

 中指で弱々しい刺激を与えながら何度もそこを往復させれば、少しずつ名前の目に涙が滲んでいった。

「あっ……っ、ひ、う」
「ちゃんと触ってほしい?」
「……ん、ほし、い」
「じゃあどうすればいいんだっけ」

 躊躇ったように一瞬こちらを見てから、名前はすぐにまた視線をそらす。だけど、もう名前にも余裕がない事くらい知っている。俺だってもうこの時点で結構限界だ。早く制服のズボンから解放されたい。

「……おそ松、くん」
「もっかいちゃんと呼んで」
「……おそ松くんっ」
「はーい、よくできました」

 名前ちゃん。
 自分で口にした学生時代の呼び名に、切羽詰まったみたいに息苦しさを覚えて、それを紛らわすように唇を押し付けた。それからもう待ったなんてできないと言うように、スカートの中から下着をはぎとって、直接陰部へと指を這わせる。下着の上からなんとなく分かっていたが、そこはもう充分すぎるほどに濡れていて、焦らすつもりが散々自分が焦らされていたらしい俺は、興奮を抑えられないまま指を中へと押し進めた。

「あっ……もっ、ゆっくり……」
「ごめん、もう結構やばい」
「ん、んっ、おそ松くん」
「あ、それ、本当それやばいんだって、名前ちゃん」

 なんだか高校生に戻った気分。なんて名前がさっき言ってた言葉とは全然穏やかさが違うけどさ、マジで高校の頃夢みてた名前ちゃんとの教室エッチなんてどうにかなっちゃいそうでしょ。やばい。ちんこはち切れそうなくらい痛い。

「はあ、マジもう入れたい」
「やっ……いい、よ、んっ!おそ松くんの、私もほしいっ」
「……そういう事言ったらもう止まらないよ?」

 本当に止まる気はしなかったし、止める気もさらさらなかった。名前の中から指を抜いて、片手で素早くベルトを外してズボンをおろす。パンツも教室の床に脱ぎ捨ててから、名前を椅子から立ち上がらせた。

「名前ちゃん、机に手ついて」
「え……こ、こう?」
「そうそう、んで、ちょっと腰上げてみて」
「えっと、これで大丈夫……やっ?!」

 俺の指示通りに机に手をついて腰を上げた名前の後ろから、陰部へと自身のそれを擦り付けそのまま一気に中へと押し進めた。最初はせっかくの制服プレイなんだからゆっくり楽しもうなんて思っていたけど、そんなの到底無理な話だった。興奮でそんな事考えている余裕なんて微塵もない。
 急に入ってきた刺激に名前は苦しそうに息を吐き出して、振り返ってこちらを睨みつけたが、それすらも俺の目には可愛いものとしてしか映らずにやついてしまう。

「急に、ばか、っ、やだ!」
「えー?俺言ったよ?止まんないって」
「だからって、そんなのっ」
「あーマジでやばい。あとで正常位と騎乗位もやろうぜ」
「んっ、あ、ばか、やらな……」
「はあ、名前ちゃんがえろすぎるのが悪い」

 いつもより気持ちいいのは、興奮しているせいで俺のモノが普段より大きくなっているせいなのか、名前の中が普段よりも濡れていて締め付けてくるせいなのか。ま、両方か。あーこの時間がずっと続けばいいのに、なんて本当はもっとロマンチックな場面で使う言葉なんだろうけど、律動を繰り返しながらそんなことを本気で考える。いや、俺にとってはこれがロマンなんだよ。ずっと夢にみてきた、高校の頃からずっとずっと大好きだった、名前ちゃんとの、名前との。

「あっ、あ、おそ松くっ、も、だめ」
「ん、名前ちゃん……名前っ」
「やっ、え?っ、おそ松?」

 急にいつもと同じように名前を呼んだことを不思議に思ったのか、名前は目をうるませて必死に机にしがみつきながらも、俺を振り返っていつもみたいに名前を呼んだ。

「……俺マジでお前のこと好き」
「あっ……!私も、おそ松のことが、好きっ」
「それに比べもんになんないくらい、俺は名前が好きだよ」
「うそ、私の方が、やっ!あ、ん!」

 続きを遮るように、より一層強く腰を打ち付けて名前の言葉を奪う。
 本当に好きなんだ。本当に俺の方が好きなんだよ。きっと名前は知らないだろう。俺がどんだけお前のこと今も好きで好きで仕方ないかなんて。
 冗談とかじゃなくって、この時間に終わりが来なければいい。本気でそう願った。夢なら頼むから覚めないでくれ。俺の青春、覚めないでよ。

*前次#
NOVEL
home
ALICE+