おそ松兄さんやトド松はバカにするけど、やっぱり猫耳というものには男なら誰しもが1度は夢みるものなんじゃないかと思う。まず視覚的にも萌えるし、それが作り物じゃなくて本物の猫耳であれば最高なんだけど、まぁそんなご都合主義で非現実的なことが起きるわけがない。
 でも例え作り物でも猫耳をつけてる女の子と、その、エロい事するとか考えただけでもやばいでしょ。それが大好きな彼女なら尚更。


「チョロ松くん……起きて……」
「……ん、なに……どうしたの?」
「どうしよう」
「……え?」
「……猫耳、生えちゃった」

 え。
 うそ、まさか、そんな、猫耳って……

「ええ〜〜〜〜?!」






 まずは状況を整理しよう。ここは名前ちゃんの家で、時刻は朝。昨日から泊まりに来ていた俺は、普段と同じように過ごしてそのまま就寝したはずだ。そして起きたら彼女の頭に猫耳が生えていた、と……。いや何それ?!突然すぎない?!

「え、本当にそれ生えてるの?」

 結局状況を整理できないままに、ベッドに寝転んだ状態で名前ちゃんの頭についている白くふさふさとした耳に手を伸ばした。

「本当に、生えてるみたいで……」
「うわ、本当だ……」

 触ってみればそれは仄かに温かく、作り物ではないことが指先に伝ってくる。マジかよ……こんな事ってありえるのか……。俺が指で恐る恐る触るたびに、ぴくりと動くそれが面白くて、つい夢中になってしまう。

「でも何でこんなものが突然……」
「んっ……!」

 ふいに名前ちゃんの口から漏れた声に、俺の思考と手の動きは一時停止した。

「え……」
「ご、ごめん!なんか、変な感じして……」
「……これ、感じるの?」
「感じるっていうか、ひゃっ!」

 確かめるように触っていた手つきから、ゆっくりとなぞるように、くすぐるように指先を這わせれば、思った通り名前ちゃんが甘い声を上げるので俺はごくりと唾を飲み込んだ。何でこんなものが突然生えたとか、その原因とか、今はそんなのどうだっていい!

「へえ、感じるんだ」
「チョロ松く、やだ、っ……」
「名前ちゃん、かわいい」
「や、恥ずかしいっ……!」

 まさか本当に作り物じゃない猫耳の生えた名前ちゃんとエッチできる日がくるとは思っていなかった。もしかして俺は夢でも見ているんだろうか。もし夢だとしても、こんな最高な夢って他にないだろ。
 猫耳を左手で触りながら、右手で名前ちゃんのパジャマを脱がしていく。下着をまとっていない体はあっという間に目の前にさらけ出され、寝起きの頭には少々刺激が強い。……猫耳が加わるだけでこんなにもエロいのかよ。

「……んっ」
「下も脱がせるから」
「だめ、待って!」

 嫌がる名前ちゃんに有無を言わせずパジャマのズボンをおろせば、ピンク色の下着が顔を覗かせ、それから。もうひとつ、俺の視界に映ったものは、本来人間には生えていないものだった。

「いや、え……マジで……?」
「や、やだ……!」
「え、これ、しっぽだよね?」
「……見ないで」
「……いや、もうさ、猫耳見られてる時点でしっぽも同じようなもんでしょ」

 同じようなもんって自分で言っておきながら、それがあるのとないのとでは大きな差だ。尾骨のあたりから生えているらしいしっぽを、感触を確かめるように緩く握れば、名前ちゃんはびくっと全身を震わせた。……うわ、ちょっとえろすぎない……?

「チョロ松くん、ほんとやめよ、こんなの……!」
「……ごめん、さすがにこれは止められないかな」

 しっぽを軽く握って擦るみたいに上下させる。うわ、なんか自分のしごいてる時思い出すなこれ……と、余計な考えが浮かんで、それを払い飛ばすように名前ちゃんの無防備な胸に舌を這わせた。柔らかい肌を滑って、舌先は胸の突起へと到達する。それを口に含みながら舌で転がせば、名前ちゃんははしたなく声を上げながら顔を横に逸らした。

「ん、やっ……なんか、変っ……」
「なに?こっち?」
「っ、それ、しっぽ、やだ!」

 どうやら名前ちゃんにとってもしっぽを触られるのは初めての感覚らしい。そりゃ普通に考えればそうなんだけど……触っただけでこんなになるってどんだけ敏感なんだよ。
 俺は驚きながらも期待半分で名前ちゃんの下着を脱がせ、露になったそこにお尻から伸びるしっぽをあてがった。瞬間、今までより一層大きく名前ちゃんが体を震わせる。

「あっ!なに、やだっ……!」
「同時にされるの、どんな感じ?」
「や、やあ、これだめっ」
「ふーん、気持ちいい?」
「ん、変になっちゃう、チョロ松く……!」
「あのさ名前ちゃん」

 刺激を与え続けながら名前を呼べば、彼女は律儀に目を開いて俺の顔を見つめた。

「鳴いてみて」
「……っ、え」
「ほら、猫の鳴き声。ちょっと言ってみてよ」
「や、むり、むりだよ……!」
「じゃあずっとこのままでもいい?」
「んっ……そ、れは……」

 次第に濡れてきたそこのおかげで、しっぽの先端は濡れていやらしく光っている。お構い無しにそれを更に押し付けて、割れ目をなぞるように何度も何度もこすり付けた。名前ちゃんは陰部としっぽ両方への刺激に、耐えきれなくなった息を吐いて、溜まった熱を逃がすように声を上げている。

「名前ちゃん」
「やっ、あ……っ……」
「早くしないと、そうだな」
「んん……んっ……!」
「……首輪でも買ってこようか?」
「だめ!チョロ松く……いじわるしないでっ……」

 いじわるしてるつもり、ないんだけどなぁ。懇願するような名前ちゃんの目線にぞくぞくと快感が押し寄せる。朝からベッドで、猫耳姿の彼女に、脱がしかけのパジャマ、上目遣い、やらしく発せられる声、とかさ、もう……ここに男の欲望すべてが詰まってるでしょ……!

「早く言いなよ」
「……ん……ゃ」
「………………………」
「あっ……」

 無言で見つめれば、名前ちゃんは俺の視線に気付いて恥ずかしそうにゆっくりと目をそらした。それから、おずおずと、口を開く。開いた口からは小さく、だけど確かに名前ちゃんの柔らかい声がした。

「……にゃあ」

 その瞬間、今まで我慢してきたものが崩れるみたいな、頭の中でガラガラと何かが崩壊する音が響いた。

「名前ちゃんっ……」

 男って馬鹿な生き物だよな、全く。ちょっと猫耳があるだけで、しっぽが生えただけで、彼女が可愛い声で鳴いただけで、こんなにも興奮できるんだから。って最高じゃねーか!!
 俺はきっと今、全国の男がヨダレを垂らして羨ましがる経験をしているに違いない。自慢してやりたい。こんなにも可愛い彼女がいる俺は世界一の幸せ者だと。

「あっ、チョロ松く、ん……!」
「ごめん名前ちゃん、今日は優しくできないから」
「ん、待って……!」
「もしかしてしっぽの方が良かった?」
「ちが、チョロ松くんがっ……」
「俺が、なに?」
「……チョロ松くんが、いい」

 こういう事計算で言ってるんだとしたら本当に恐ろしいと思うけど、これが天然だとしてもそれはそれで恐ろしいと思う。心臓を掴まれたみたいに息が苦しくなる。荒い息を吐きながらパジャマを脱いで、熱くなった自身を名前ちゃんのそこにあてがった。

「んっ、ああ……」
「っ……名前ちゃん」
「チョロ松く、の、おっきぃ……」
「はあっ……お前さ、それ、わざと言ってる?」
「やっ?!ん……んっ……だってぇ」
「だってじゃないよ……」
「あ、ん……チョロ松くん、もっと……!」
「煽りすぎ、だから……!」

 夢にみてたシチュエーションも、セリフも、もしかして全部やってもらったし言ってもらったんじゃないかな?マジで夢かよ。こんなに最高なことあっていいのかよ。
 腰を打ち付けながら猫耳姿で喘ぐ名前ちゃんの姿を目に焼き付けるように見つめる。何でこんな事になったんだっけ。原因、分かるかな。あーほんと、誰か猫耳生える薬でも開発してくれよ、頼むから。

「名前ちゃ……名前ちゃんっ……!」
「んっ、チョロ松くん……!」

 もっと俺の名前、呼んでよ。
 今日はこんなに欲望が叶ったんだ。あと一つくらい俺の望み言っちゃってもいいかな。いや、でも、さすがに……。
 頭の中で考えを悶々と巡らせていると、それを汲み取ったように名前ちゃんが薄らと微笑みながら俺の目を見つめた。

「ねえ……チョロ松くんのミルク、ちょうだい」

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