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荷造りには1週間を要した。
単に荷造りと言ってもそれは、自身の荷物をまとめる以外に、亡くなった杏寿郎様の遺品の整理や、決して長い期間ではなかったが世話になった屋敷を綺麗にすることも含まれていた。
なんと言っても柱に与えられた屋敷は大層広くて、隅々の掃除をしながらやはりここに1人残る選択をしなくてよかったと思った。
その1週間の間に、任務からお戻りになられた悲鳴嶼様と宇随様が順次屋敷にお見えになられて、同朋の早すぎる死を思置かれていった。
随分遠くまで任務に出られているという冨岡様からはカスガイガラスを通して簡素な手紙が届いたが、時任様と不死川様が杏寿郎様の死について何かお言葉を賜られる事はない様子だった。
「さて、行ってきます、杏寿郎様」
彼が弟君に文を書く際によく使っていた小さな座卓に用意した簡素な仏壇に手を合わせて屋敷を出る。
屋敷を出る準備は整ったので、あと私がここですべき事は、胡蝶様の蝶屋敷に先日のお話をお断りする旨を申し伝えに行くのみである。
かれこれ1週間以上ぶりの外出は、少し雲行きの怪しい曇りの空模様であった。
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「御免ください」
蝶が舞う道端をしばし歩いて立派なお屋敷の入口で声を発すると、洗濯物を干していた様子の少女が駆け足で用件を伺いに出てきてくれた。
「どうかなさいましたか?お怪我は…特にされていないようですね」
「お取り込み中にすみません。胡蝶様が今日任務からお戻りになるとカラスに聞いて参りました」
「そうでしたか。ですがしのぶ様はまだお戻りになられておりません。先日の手紙では日が暮れるまでには戻るとありましたから、お待ちになっていただけますか」
「あ、はい」
「ありがとうございます、それではこちらへお願いします」
まだ幼さの残るこの少女の齢は如何程だろうか。
キビキビと客人に接する様子は決して子供のそれとは思えなくて、胡蝶様の躾がさぞ素晴らしいものであることがこの一瞬で見て取れた。
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