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幸村side

彼女と出会ったのは俺達テニス部が屋上でお昼を食べていた時の事だった。
何の突拍子もなくジェット機に乗って現れた跡部に呼び出され彼女は息を切らしながら屋上に現れた。

赤也や丸井をはじめ、あの仁王までもが美女だと絶賛する今話題の転校生。
正直この時期の転校生だから物珍しさもあり一時的に騒いでいるのかと思っていた俺は見事に期待を裏切られた。

美しいという表現を拒むほどの完璧に整った顔立ちで跡部に向かって文句を言う彼女は、誰がどう見ても美少女だと思わざるを得ない程の美貌の持ち主だった。

そして成り行きで跡部と彼女の口論を眺めていた俺は突然きょろきょろとし出した彼女と目が合ってしまう。

その瞬間、彼女の瞳がきらりと輝いた。
あっという間に騒動に巻き込まれてしまった俺達だが、いよいよ跡部に連れて行かれそうになっていた彼女を見ていたら反射的に体が動いて、気づいた時には俺は想像より細い彼女の手首を掴んでいた。

我ながら何故他人の面倒ごとに首を突っ込んだのだと後悔したが、驚きで目を丸くした後微かにホッとした表情を見せた彼女にやはり引き止めてよかったのだと思い直す。

跡部が去って行った後、どうしてか彼女をこのまま逃してはいけないと感じた俺は少し無理やり気味ではあったが彼女をマネージャーにすることに成功した。とは言っても2週間という期限付きだ。
どうやら2週間という期限付きでマネージャーをして俺達がサポートするに値するかどうかを見定めるらしい。

当然俺はその条件を飲んだ。そういう事ならば、悪いが負ける気はしない。俺達のテニスに対する思いは本物だ。ーーと言ってもこれは勝ち負けの話ではないのだが、とにかく何とか彼女を繋ぎ止める事ができた。

その後、放課後になり早速彼女がテニス部のマネージャーとして部に加わった。
レギュラー以外の部員達は噂の美少女転校生を前にして情けないほどに赤面していたがその気持ちも分からなくはないので敢えて咎めることはしない。

そうして簡単な紹介をした後、柳は業務内容を教える為彼女と共に部室に向かった。

それを目で見送った後、テニスコートに視線を戻すとちょうど真田が赤也と丸井を咎めている所だった。大方一条さんがマネージャーになり浮き足立っていた所を注意されたのだろう。

その様子を見ながら部員達と順番にラリーをし、それが終わった頃タイミングよく台車を引いた一条さんの姿が見えた。

予想していたよりだいぶ早くに現れた彼女に感心していると赤也と丸井、そして近くにいた柳が彼女を出迎える。

だがどうしたものか、赤也達が話しかけても彼女はそれに答えなかった。
呆然とした彼女を不思議に思い足を運ぶとすぐ様 「部活の時はいつもこうなのか」と聞かれる始末。

その質問の意図が分からず問い返すと彼女は腕を組みながらクイッと顎でテニスコートの外にいるファン達を示した。

"うるさい雌猫共"というセリフに不意を突かれて一瞬目を見張ったが、すぐに一条さんの言わんとする内容を理解して彼女達について説明をした。
ただでさえ鋭かった一条さんの目つきが更に鋭くなる。

その後は怒涛の展開だった。
まず厄介な女子の目当てが俺だと知った一条さんにキスをされた。頬にではあるが、柄にもなく動揺した俺はみっともない姿をしていたのだろうと思う。

一条さんはそんな俺に構うことなくどんどん話を進めて行き、あっという間にあの厄介なファンクラブの女子達を退かしてみせた。

嬉しさ反面、部長としての不甲斐なさを感じたがやはり彼女をマネージャーにしたのは正解だったと強く思う。

しかし全ての問題が解決したわけではない。これからは一条さんに降り掛かるであろう女子のやっかみから俺達が彼女を守らなくてはならない。

部員達にもそう言い聞かせて皆納得したが、彼女はスッパリとその提案を切り捨てた。

自分に構わずテニスに集中しろという彼女に言葉が出なかった。

今まで出会ってきたどんな女子とも違う。
知れば知るほどもっと深くまで知りたくなる。
そんな彼女に俺の興味が更に掻き立てられのるはごく自然の事だった。


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