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「んじゃ教室での見張り役は俺らで決まりだろい!」
「そうだね 教室は丸井と仁王に任せるよ」
「プリッ」
「登下校は送迎があるら大丈夫だとして。後は一条さんが教室を出る度に誰か見張りが欲しいな」
現在朝練を終えたテニス部員達が部室で制服に着替えている最中だ。しかしマネージャーである麗奈は朝練には来ていない。勿論それは怠惰から来るものではなく、幸村が故意に伝えなかったからだ。
昨日麗奈が放った"守る必要はない"という言葉を幸村がそのまま鵜呑みにするはずもなく、朝練をしがてら麗奈にバレないよう彼女を守る計画を練る為わざと伝えなかったのだ。
「ハイハイ!それ俺がやります!」
待ってましたとばかりに身を乗り出して立候補する赤也に幸村が少し考えるような素振りを見せる。
「赤也か 悪くはないけど教室同士の移動が大変だろう?それに休み時間の度教室の階が違う赤也が一条さんのクラスの前で待機するとなると彼女に感づかれる可能性がある」
「い、いや大丈夫っスよ幸村部長!俺絶対バレないようにするんで!」
「いや、ざっと見積もっても一条にバレる確率96.7%だ やめておけ」
「うむ 蓮二の言う通りだ。ここは俺達に任せろ赤也」
「そ、そんなぁ〜!先輩達だけずるいっス!!」
「そんな考えではいけませんよ切原君 我々はテニスに集中しろと言われた手前こうして陰で一条さんを守るしか方法がないのです」
「柳生の言う通りぜよ。考えてもみんしゃい もしこの計画がバレたりしたら…」
「バ、バレたりしたら…?」
仁王の意味深な言い方に赤也がごくりと喉を鳴らす。
「自分があんなことをしたせいで返って俺達の負担になってしまった……なーんて一条が自分を責めることになるかもしれんじゃろ(まぁそんなタマではないと思うがのう)」
「うっ…」
「ここは少し大人になって我慢しろ?な?」
そう言ってジャッカルがポンッと赤也の頭に手を乗せればそれ以上駄々をこねる事はできず、シュンとしながらも赤也はそれに納得した。
「さて じゃあ教室の外での見張りは俺が引き受けるよ。教室も隣だしね」
「そうだな ここは精市が適任だろう」
「そうか ならば任せたぞ幸村」
「うん 何はともあれ常に意識することは一条さんに対して不審な動きをする者がいるかどうかだ。見つけ次第情報共有を怠らないように」
幸村の言葉に皆が真剣な面持ちでコクンと頷く。しかし次の瞬間、部室の扉がバン!と大きな音を立てて開けられた。
「ちょっとあなた達!どうして朝練があるのに私に何も言わなかったのよ!」
開いたドアの先にいたのは不機嫌そうな顔をした美女。赤也や丸井などはまだ着替えている最中だったが、そんなものはお構いなしにツカツカと部室内に麗奈が入って来る。
「ちょっと幸村君 これは一体どういう事なのかしら」
「ごめん一条さん 昨日の出来事が少し衝撃的でうっかりキミに朝練の事を伝え忘れてしまったんだ」
サラッと息をするかのように嘘をついた幸村に赤也がええっ!とおもわず声が出そうになるのを慌てて丸井が抑える。
一方麗奈は物腰柔らかな幸村の雰囲気に少し落ち着きを取り戻して口を開いた。
「直接じゃなくても他に連絡手段があったでしょう」
「気づいた時にはもう朝練が始まる時間だったんだ 本当にごめんよ」
謝罪の言葉とともに申し訳なさそうな顔をする幸村をそれ以上責められるはずもなく、麗奈は「明日からは私も朝練に参加するわ!」と言い残して部室を後にするのだった。