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「なんだか私達部活以外でもよく会うわよね」
昼。屋上で昼食をとっていたテニス部レギュラー達は何気ない麗奈のその言葉に一瞬口を閉ざした。
赤也が分かりやすくオドオドしていたが丁度視線を弁当に落としていた麗奈はそれに気づかず続ける。
「丸井君と仁王君は同じクラスだからまた別だけど、教室から出る度にあなた達のうちの誰かしらと必ず会うのよ 不思議だわ」
「まぁみんな教室近いしな たまたまだろい!」
「そ、そーっスよ!たまたまっスよ、たまたま!」
「?何をそんな慌ててるの」
「え!?あ、ははっ 慌ててなんかないっスよ!」
声が上擦ったりとあからさまに落ち着きのない様子の赤也に丸井が麗奈に気づかれないよう赤也をど突く。
その横で瞬時に状況を把握した柳が麗奈に勘づかれる前に話の流れを変えようと口を開いた。
「そういえば転校して今日で3日目だな 学校生活には慣れたか?」
「まぁそうね まだ見られることは多いけど特に不自由はないわ」
「それはよかったです 何かお困りの事があればいつでも私達にご相談くださいね」
「ふふ ありがとう 困ったことがあれば遠慮なく相談させてもらうわね」
柳の計らいで違和感なく話題を逸らすことに成功し、内心ホッと胸を撫で下ろした幸村がそれを悟らせないよう柔らかな笑顔を浮かべる。
「そういえば一条さんがマネージャーになってからドリンクの補給は勿論スコアチェックにも漏れがないしでとても助かってるんだ。キミの働きぶりを見るたびにマネージャーを頼んでよかったと思わされるよ」
「うむ まだ数日ではあるが確かに一条の働きは見事と言わざるを得んな」
「古くなったボールの処分も以前までなら手が回らなかったが一条が来てからそれもなくなったな」
「ああ 有り難いよな。あれから女子達も騒がなくなったしよ」
「じゃのう まさに鶴の一声じゃな」
「鶴〜?何言ってんスか仁王先輩!いきなり鶴とか今全然関係ないじゃないっスか」
真面目な顔でそう言って来る赤也に幸村がやれやれと目を閉じる。
「赤也はもっと勉強に力を入れないといけないようだね」
「赤也!昼を食べたらすぐに教科書を持って部室まで来い 俺が直々に勉強を教えてやろう」
「ええっ いきなり過ぎますよ副部長!ってちょ、麗奈先輩も仁王先輩達も何で笑ってんスか!?」
なぜ突然勉強を教えてやると言われたかが分からず驚く赤也を見て麗奈が笑う。
その横で仁王や丸井達も赤也を指差して笑った。
「あははっ!だって切原君があまりにも可愛いんだもの 笑うなって方が無理よ」
「一条の言う通りじゃ赤也 素でボケるのは反則ぜよ」
「本っ当お前ってやつは最高だよな!あー面白すぎて腹いてえ」
麗奈はまだしも後の二人の馬鹿にしたような笑い方に赤也の顔がムッと膨れる。
「わけわかんねー!もういーっスよ、俺には柳先輩がいるんで!」
「いや すまない赤也。流石の俺でも今のは庇い切れん」
「や、柳先輩まで!?」
味方をしてくれると思っていた柳にまで首を横に振られ赤也があからさまに落胆する。
「ほら そんなに落ち込まないの。これ食べて真田君と勉強してきちゃいなさい」
赤也の落ち込む姿があまりにも可愛くて、麗奈がその頭をポンポンと撫でる。
するとパァアッという効果音と共に赤也の瞳に光が差した。
「…麗奈先輩っ!もう俺の味方は麗奈先輩だけっス!」
「まったく大袈裟ね」
そう言いながらも赤也の頭を撫で続ける麗奈を見た柳は徐にノートを取り出すと何食わぬ顔でサラサラとペンを走らせるのであった。