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「アーン?ずいぶん早かったじゃねぇの」

走ってきたのか若干息を乱しながらやって来た麗奈は相変わらずな幼馴染みを前に声を荒げた。

「何が"早かったじゃねぇの"ですって?このバカ!あんな呼び出し方するなんて有り得ないわよ 一体何考えてるの?!」

「フン お前が無断で立海なんかに転校したのが悪い。今からでも遅くねぇ麗奈 俺様のいる氷帝に来い」

「久しぶりに会ったっていうのにあんたの自分至上主義な所は昔から変わらないのね?景吾」

「なんとでも言え 今日はお前を迎えに来る為にミカエルに言ってジェット機まで手配させた。嫌とは言わせねぇよ」

跡部のそんな言葉にも怯まず麗奈が言い返す。

「あらそう。でも悪いけど私は氷帝に行くつもりなんてないわよ」

「立海に残る理由もねぇクセに何を駄々こねてやがる 生憎だがここまで来て行かないなんていう選択肢は用意してねぇ」

そう言ってどんどん距離を詰めてくる跡部に麗奈は後退り、周囲に何か役立つものがないかと辺りを見渡した。

そして今までの一連の流れを見ていた立海テニス部レギュラー達とバチっと目が合った。

ぴこん!と麗奈の中のセンサーが稼働する。

「残る理由ならあるわ」

「アーン?この俺様を前に嘘をつこうなんざーー」

「彼らよ!私、彼らのマネージャーになったの」

少し離れた場所から成り行きを見守っていた立海テニス部の面々を指さした麗奈に当の本人達の目がこれでもかというほど見開かれる。

跡部はというと、よく知った顔ぶれ達を目に少し驚きはしたもののすぐ様麗奈と立海テニス部達を見比べた。

「ハッ 嘘ならもっとマシな嘘をつくんだな。俺様のインサイトを使うまでもねぇ 行くぞ」

馬鹿馬鹿しい、と跡部が麗奈の手を掴み歩き出す。

「ちょっ、待ってよ!」

どんどん前へ進んで行く跡部に手を引かれ、ついにジェット機から垂れた梯子に跡部が手を掛けた時だった。

「悪いが彼女は行かせられないよ」

立海テニス部部長の幸村が跡部が掴んでいる方とは反対側の麗奈の腕を掴んでその進行を止めたのである。

「…テメー幸村 何ふざけたマネをしてやがる」

「彼女はうちのマネージャーだ だから行かせることは出来ない」

「ハンッ お前までこいつの嘘に付き合ってやるとはなぁ…幸村 なんのつもりか知らねぇがさっさとその手を放しな」

麗奈を挟んでバチバチと睨み合う跡部と幸村。「一条さんの手を離してくれないかな、跡部」と言いながら笑う幸村(しかし目は笑っていない)と「ああん 寝言は寝て言うんだな」と幸村を挑発する跡部。

そんな先輩達のやり取りを近くで見ていた赤也が落ち着かない様子であわあわと慌てている。その時だった。

「…ごめんなさい景吾!」

麗奈が幸村の方にグッと体を預け跡部の手から逃れる事に成功したのだ。
それによりジェット機から垂れている梯子に手をかけていた跡部は重しをなくし、ふわりと梯子と共に宙に浮く。

「てめぇ 麗奈!」

「転校は無理だけど近いうちそっちに顔を出すから…!ーー久しぶりに会えて嬉しかったわ」

そう言ってジェット機ごとどんどん遠ざかって行く跡部に手を振る麗奈。

跡部はというと、"会えて嬉しかった"という言葉と笑顔を浮かべて自分に手を振る彼女に怒る気が失せたようだった。

「ったく 相変わらず一筋縄じゃいかねぇ女だぜ だがそれでこそこの俺様が惚れた女だ」

跡部は麗奈から視線を立海テニス部レギュラー達に移した。

「よく聞きな立海の野郎共!その女は俺様の婚約者だ 妙なマネしやがったら地獄の果てまで追い詰めて叩き潰す!それを常に肝に銘じておくんだな!ハァーッハッハッハ!」

上空から降り注ぐ跡部の高笑いに立海のメンバー達は跡部の相変わらずな俺様ぶりに呆れた顔をして遠ざかっていくジェット機を見つめるのだった。


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