仮免取得試験
そして ヒーロー仮免許取得試験当日。
「この試験に合格し仮免許を取得できればお前らタマゴは晴れてヒヨっ子。セミプロへと孵化できる。頑張ってこい」
「っしゃあ なってやろうぜヒヨっ子によォ!」
あ、ヒヨっ子でいいんだ。
馬鹿にされてるのかと思ったけど、そうじゃないのか。
「いつもの一発決めて行こーぜ!せーの Plus…」
「「「Ultra!!!」」」
勝手に円陣に入ってきた大きな声。
初めて聞くその声の主に視線を向ければ、帽子を被った男が立っていた。
「勝手に他所様の円陣へ加わるのは良くないよ。イナサ」
「どうも 大変 失礼致しましたァ!」
思いっきり地面に頭を打ち付けながら、謝罪をしたイナサと呼ばれた人。
「…世の中ヤベェ奴がいるんだな…」
「お前が言うかよ」
「え、爆豪ひどくない?俺ヤバい奴?」
俺と爆豪の会話をよそに、「あの制服って」と みんながざわつき始める。
「有名なの?」
「知らねぇのかよ 血郷。東の雄英 西の士傑。雄英に匹敵するほどの難関校だ」
「へぇ…そうなんだ」
お前まじかよ、と爆豪は呆れていた。
「普通志望校選ぶときに見んだろ」
「俺、雄英しか受けてないし」
「クソ腹立つなお前」
顔を上げた彼の額からは血が滲む。
「一度言ってみたかったっス!自分 雄英高校大好きっス!皆さんと競えるなんて光栄の極みっス。よろしくお願いします!」
「夜嵐イナサ…ありゃあ強いぞ。昨年度の推薦入試トップの成績で合格したのにも関わらずなぜが入学を辞退した男だ」
推薦入試でトップ?
て、ことは 焦凍よりも強いのか。
「前から思ってたけど。お前、そんな常識知らずで大丈夫かよ」
「なんで?自分を攻撃してくる敵を全部 壊せばいいだけの話でしょ?」
「…間違ってねぇけど」
爆豪は呆れたのか 溜息をついた。
「イレイザーじゃないか!久しぶりだな!」
また声をかけてきた人。
相澤先生は死ぬほど嫌そうな顔をしている。
「結婚しようぜ」
「しない」
「しないのかよ ウケる!」
相変わらず絡みづらいな、ジョークと 先生は呟く。
彼女もヒーローらしく、緑谷がご丁寧に解説をしてくれた。
「お前のとこもか」
「そうそう。おいでみんな!雄英だよ。私の受け持ち、よろしくな」
彼女の受け持ちと紹介された中の真堂と名乗る男の人は全員と 握手をして回る。
「神野事件を中心で経験した2人!君たちには特別に強い心を持ってる。今日は君たちの胸を借りるつもりで頑張らせてもらうよ」
そう言って自分たちに差し出された手。
表情と目に映る感情が噛み合ってないな。
「フカしてんじゃねぇ。台詞と面があってねぇんだよ」
そう言ってその手を弾いた爆豪。
やっぱ、よくみてる男だ。
「蛟くんも!」
めげないな。
自分にも差し出された手をにこりと笑って 握る。
「下手っくそな 作り笑いですね。どうぞ、よろしく」
見開かれた目。
だが、彼は笑う。
なんか、俺と似てるなぁ…
彼の手を離せば、隣に立つ爆豪が笑った。
「何笑ってんの」
「どの口が言ってんだか」
「俺は違うよ」
説明会始まるぞ、という言葉で みんな会場へ向かい歩いていく。
「蛟!」
そんな中、相澤先生は俺を呼び止めて 手招いた。
「どうしました?」
彼は俺をじっと見つめ、火傷を負った頬に手を添えた。
「約束は覚えてるか」
「はい」
「…無理はするな」
乱暴に髪をかき混ぜた彼は 少しだけ 笑っていた。
「心配性ですね」
「誰のせいだと思ってんだ」
「あ、俺ですか?」
笑いながら言えば彼は次はないぞ、と言った。
「大丈夫です。強いんで 俺も みんなも」
「…知ってるよ」
「じゃあ行ってきます」
歩き出して、「あ!」と足を止め振り返る。
「結婚式には呼んでくださいね」
「は?」
彼の見開かれた目。
俺は笑って、前を歩くみんなを小走りで追いかけた。
▽
新しくした戦闘服に身を包み ぎゅうぎゅうな会場で長ったらしい説明を聞いていた。
「変わったな、服」
小さな声で、焦凍が言う。
元のデザインは変わらないが 黒いアンダーが肌を隠している。
そして、フードと説明を聞くためにずらしたガスマスク。
「…まぁね。色々とあるんだよ」
例のやつは技として成功している。
試す機会が あればいいけど。
それにしても、ここにいる全員 敵 か。
「この場にいる受験者1540人一斉に勝ち抜けの演習を行ってもらいます。そして、条件達成者 先着100名を通過とします」
100名。
ルールは6つのボールを持ち、敵のターゲットの3つ目にあてることで倒した判定。
倒すのは 2人か。
ボールを奪うとか、2つ当てられた敵を掠めとるとかボールを節約する方法もあるけど。
別にそんなことせずとも、2人 捕まえりゃいいってことだろ?
説明会の会場が展開し、広がったマンションやら 工場やら 色んな地形を要した場所。
得意な地形選びとかも重要ってことね。
まぁ、俺には関係ないか。
「先着で合格なら同校での潰し合いはない。むしろ手の内を知った仲でチームアップが勝ち筋。みんな、あまり離れずひとかたまりで動こう」
状況の判断をした緑谷が言う。
日に日に彼は 堂々と していくな。
まぁ、緑谷の言うことは わかる。
が、案の定 爆豪は「遠足じゃねぇんだ」と走り出すし、「俺も大所帯じゃ却って力が発揮できねぇ」と離脱する焦凍。
まぁ、アイツらが素直に従うわけないか。
俺は緑谷たちと行動しようかな。
「血郷!」
そう思っていたのに爆豪が俺の名前を呼んだ。
そして顎で さっさと来いやという動きをする。
なんつーかもう、横暴。
いや、それかまだ心配しているのか。
まぁどっちでもいいか。
「緑谷。みんなを宜しく。アイツと行ってくる」
「わかった。お互いに、がんばろ」
「健闘を祈る」
拳をぶつけ合い目を合わせ、笑う。
緑谷もこんな真っ直ぐな目をしてたのか。
ガスマスクをつけ、フードをかぶり 爆豪を追う。
「なんだそれ、カッコいいな!?」
同じく爆豪を追っていた鋭児郎の言葉に ありがと と答えた。
「腹立つ笑顔見ないで済むから ありがてぇな」
「爆豪なら、そう言うと思ったよ。てか、腹立つなら呼ぶなよ」
「うるせぇ。黙ってついてこい」
言うことごちゃごちゃ。
「ま、がんばろーぜ!」
「あれ上鳴も付いてきたのかよ」
「だって!お前ら走り出すから!」
じゃあこの4人で 一次通過するか と鋭児郎は笑った。
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