有象無象の淘汰

所々で 戦闘が始まった音がする。

「さっさと片付けんぞ」
「わかってるよ」

こっちへ来たのは 爆豪 俺 鋭児郎 上鳴の4人。
爆豪を追いかけ、走って来た先。
地面は見たことないどろついた塊のようなものが落ちていた。
何だろう、と近づこうとすれば「危ねぇ!」と鋭児郎の声。
振り返れば爆豪を庇った鋭児郎が 大きな指のようなものに触れ ゆっくりと地面に落ちている肉の塊のようなものに された。

「緑谷たちの方行っときゃよかった!!君たちが走ってっちゃうからさァ!寂しくてついてきちゃったらさァ!」
「じゃあ行けやカス」
「行けるわけねーだろ!!だって切島があんなんなっちゃったんだぞ!」

彼は鋭児郎からできた肉の塊を地面に落とす。
動いているところを見ると、死んではいない。
あ、てか。あれ?

「ねぇねぇ爆豪。これって、どこまでならやっていいの?」
「死んでなけりゃいんじゃね?」
「蛟まで爆豪みたいになんないで?!」

殺さなきゃいいのか。
まぁ それなら なんも考えずに戦えそうだ。

「我々士傑生は活動時帽子の着用を義務付けられている。何故かわかるか?我々一挙手一投足が士傑高校という伝統ある名を冠しているからだ」

急に始まった演説。
こういうの爆豪嫌いそう。

「これは示威である。就学時より責務と矜持を涵養する我々と粗野で徒者のままヒーローを志す諸君らとの水準差」
「嫌いなタイプだ」
「あ、だと思った」

弔の時も 長ったらしい話も嫌がっていたし。

「何つったあの人!?頭に入ってこねー」
「馬鹿がバレるぞ」
「目が細すぎて相手の実力が見えませんだとよ」

爆豪の適当な翻訳に「私の目は見目好く長大である!」と彼が怒った。

「オイ、コンプレックスだったぽいじゃん!やめよ!そういうの!!」
「爆豪すぐ人のこと傷つける」
「お前ら俺に喧嘩売ってんのか。血郷までのってんじゃねぇ!」

はいはいごめんね、と マスクの下で笑う。
彼に顔は見えていないだろうけど。

「雄英高校…私は尊敬している。御校と伍する事に誇りすら感じていたのだ。それを1年A組は品位を貶めてばかり…」

手を後ろに回した彼。
そして、背後に浮かび上がる 大きな指。

「さっきのまた来るぞ!キモいやつ!」
「うるせぇ!責務?矜持?ペラペラペラペラと口じゃなくって行動で示して下さいヨ センパイ!」
「特に貴様だよ!爆豪!!」

構えた爆豪が打ったのは 新技の乱れ撃ち。
威力は少し弱めてあるな…

「名付けて 徹甲弾 機関銃」
「つーか、お前方々から同じような理由で嫌われてんな…」

散った指は元に戻っていく。
あれ自体を破壊することは出来なさそうだな。
あれが触れることで、あの肉の塊に変えられる。
と、なれば距離をとったままアイツを抑え込めばいいのか。
あ、けど 邪魔したら 爆豪怒るか?

「私が手折り気付かせよう。帰属する場に相応しい挙止。それが品位であると」

めんどくさい人。
今日来て思った。
雄英は まともな人が多いのか 慣れてしまっただけなのかわからないが、他校に変な人が多い。

「うるせぇ奴だ!ぶっ殺す!」
「だー待て!試験だぞ 忘れんなよ!もぉ、こんな戦闘不毛すぎる。早いとこ切り上げっぞ」

上鳴が打った何か。
そういや、戦闘服をどう変えたのか 聞いてなかった。

「飛び道具か…目障りだ。先に丸めてやろうか」
「俺を無視すんな!」
「してないが?さて…先程、切島で見たであろう?その肉は 触れたら終わりだ」

肉に飲み込まれていく爆豪が俺を見た。

「血郷!見学は終わりだ」
「お前が勝手に突っ走ったんじゃん」

肉に変えられた爆豪。
さて、俺と上鳴が 残った。

「これは示威である。今試験は異例の少数採用。オールマイトが引退し時代は節目。本来であればヒーローは増員して然るべきではないか?即ちこれが示唆するのは有象無象の淘汰。ヒーローという職をより高次のモノにする選別が始まったと推察する。私はそれを賛助したくこうして諸君らを排している」
「試験そっちのけでやることスか?おかしーよ なんかそれ」
「徒者が世に憚る方がおかしい」

彼は爆豪の肉の塊を踏みつける。

「さっきから黙って聞いてれば なんなの?ステインの真似事?」

胸のネックレスを握りしめ、首を傾げる。

「もし、そうならさぁ…殺すよ」
「やれるものなら、やってみろ」

上鳴が打った弾は未だ空中に浮いている。
俺の仮説が、正しければ…

「上鳴」
「おうよ」
「運んでやる。外すなよ」

俺の言葉に 意味がわかったのか上鳴は笑った。

「そんじゃまぁ、、血時雨!」

焦凍戦っていた時に見せた 大量のクナイを飛ばす技。
いま、どこから血が現れた…?と敵が言う。
自分に向かってくる気持ち悪いのを避けつつ、彼が逃げるのを確認した。
血時雨を避けた彼がポイントに入って、上鳴が指を向ける。

「良い位置ですね」

指から真っ直ぐでた電気。
なるほど、あの浮遊してるやつが電気を受ける装置なのか。

「ぐあっ!!?」

彼にだけ当たった電気。
夏休み中に作った 周りを巻き込まないための 彼の技なんだろう。
「ナイスー」と笑ってやれば、彼も笑う。

「ソヤで下水道みてーなやつだけど。割と真面目にヒーローやろうとしてますよ。切島だって友達のために敵地乗り込むような馬鹿がつくくらい良い奴なんすよ」
「何も知らない 温室育ちのおぼっちゃまに 勝手に 決めつけられても 迷惑なんだよね」
「つーことで、こいつらをディスってんじゃねぇよ!!」

上鳴の言葉を強くした声。
いつもニコニコしてるから 初めて聞いたな。

「立場を自覚しろという話だ 馬鹿者が!」
「自覚すんのはお前だよ。血縛!」

彼の足を地面に縛りつければ すかさず復活した2人がパンチを叩き込む。

「ダメージ次第で解除されちまうんすか。どおりで遠距離攻撃ばっかなワケだ。ありがとな、上鳴 血郷!」
「遅ぇんだよ!」

助けてやったのに よくいうよ。

「ひでーな!やっぱディスられても仕方ねぇわお前!つーか、後ろ!丸くこねられたのはお前らだけじゃねぇぞ」

人に戻ったのはざっと20人くらい。

「知ってんよ」
「まぁ、もう捕まえたけど」
「は?」

復活と共に地面に縫い付けた 彼ら。
爆豪は不服そうに俺を見た。

「結構通過してるみたいだから。早く済まそうよ」
「…爆豪、今回は血郷の言う通りにしようぜ」

盛大に舌打ちをされたが それぞれ 近くの奴にボールを当てる。

「てかさー、残る奴がいても不公平でしょ?有象無象の淘汰…だっけ?」
「は?」

俺は血で残った奴らのボールを掬い上げ一斉に ターゲットに 当てた。
4人通過と 放送が聞こえ脱落者の数も合わせて伝えられる。

「爆豪と仲良くなってから、性格悪くなってない?血郷」
「え、そんなことないよね?爆豪」

爆豪は俺を見て満足そうに笑う。

「いや、否定しろよ!?」


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