戦闘訓練

次の日から授業が始まった。
担当しているのはプロヒーローだが、内容は普通だった。
昼はそれぞれ大食堂や持ってきたお弁当とかで済ませていた。
かくいう俺も 家から持ってきたご飯を食べていた。
午後はヒーロー基礎学。
教室に来たのは ヒーローコスチュームに身を包んだオールマイトだった。

「ヒーロー基礎学はヒーローの素地を作る為様々な訓練を行う科目だ。早速だが今日はコレ!戦闘訓練!」

battle と書かれたカードにクラスの人たちは少し嬉しそうな表情を見せる。

「そしてそいつに伴って…こちら!入学前に送ってもらった個性届と要望に沿ってあつらえた 戦闘服!」
「「「おおお!!!」」」

あぁ、たしかに そんなもの入学前に提出したな。

「着替えたら順次グラウンド・βに集まるんだ!」
「「「はーい!!」

更衣室でコスチュームの入ったカバンを開ける。

本当に要望通りだ。
細身のモノクロの迷彩服と腰につけられるポーチが複数。
ちゃんと冷却機能も付いているみたいだ。
そして、刀の柄。

握り心地も 悪くない。
俺はあまり接近戦を好まない。
だから、こーいうもので補う必要があるかなぁと 申請したものだった。
まぁ、刀なんて 使ったことないから 今日練習できればいいか。

服に着替えて、黒いポーチに血液の入った瓶を入れた。

コスチュームに身をまとった生徒がグラウンドに並ぶ。
こうみると、本当に人それぞれだ。

「始めようか 有精卵共!戦闘訓練のお時間だ!」
「先生!ここは入試の演習場ですがまた市街地演習を行うのでしょうか!?」
「いいや!もう二歩先に踏み込む!屋内での対人戦闘訓練さ」

屋内の戦闘訓練か。
そうなると 刀は いまいちか?

「君らはこれから敵組とヒーロー組に分かれて2対2の屋内戦を行ってもらう!」

あーだこーだーと質問が飛び交い 先生が今回のルールの説明をメモを見ながら行った。

「このクラスは21名だから、1組だけ3名で行おう。必ずしも敵が自分達と同じ人数とは限らないからね!」

くじ引きの結果、俺はIグループに。
対戦相手は 運が良いのか悪いのか 焦凍のいるBチームだった。
まるで喧嘩のような緑谷と爆豪の戦いを見ながら尾白と葉隠さんとお互いの個性について話していた。

爆豪。
会話は聞こえないけど、どうしてあんなにも焦っているんだろう。
講評を聴きながら彼を見ていれば交わった視線。
何故か舌打ちをして目を逸らされた。

まぁ。いいけど。
場所を移して始まった第2戦。
自分たちは敵側だ。

開始早々固められた建物に俺は内心溜息をつく。
氷の個性があることは2人に伝えていたけど、これは予想外。

「防衛戦狙いだったのかもしれないが、俺には関係ない」

ドアが開いて 入ってきた焦凍。

「動いてもいいけど 足の皮剥がれちゃ満足に戦えねぇぞ」
「最初から めんどくさいなぁ」

焦凍がこちらを見て 俺が動かないことを確認した。
気がした。

訓練は どこまで許される?
殺すのは ダメ。
怪我は?
あー、けど。本気でって言ってたっけ。

「ねぇ、焦凍。これは どこまで許されるの」

俺の問いかけに彼は怪訝そうに眉を寄せたが「死ななきゃいい」と答えた。

「なるほど。わかりやすくてありがたい」
「おい、やめとけ。血郷」
「なにが?」

べりっと何かが剥がれる音。
彼は 最悪だと呟いた。

予め開けておいた瓶から血を操り、刀身を作る。

「馬鹿なのか、お前は」
「なんで?」





足を凍らされたのにも関わらず無理矢理それから解かれた蛟。

「絶対 皮剥がれてんだろ、、」

小さく呟いた言葉を オールマイトもどうやら拾っていたようで 眉をひそめた。
当の本人はヘラヘラとしながら 血で作った刀で 彼に向かっていく。
幾度となく形成される氷の壁に手こずっているようだった。
その隙に 外にいた障子が氷の壁を階段のように使い 外から部屋に侵入し 核に触れた。
終了の合図で 蛟は攻撃をやめて 笑った。
轟の炎で氷が溶かされ、みんなが建物から出てくる。

「蛟、足は平気か!?」

つい、誰よりも先に声をかけてしまった俺に彼はきょとんとしていた。

「怪我をしてるならすぐに保健室へ「あ、別に大丈夫ですよ」いいから見せない!」
「はぁ、、」

彼は不思議そうに靴を脱いだ。
黒い靴下からポタリと赤い液体が落ちる。

「やっぱり怪我してるじゃないか!!」
「これくらい別に…」
「よくそれで普通に戦闘してたな、お前…」

保健室に行って止血してもらいなさいという言葉に彼は 少し不思議そうにわかりました と答えた。
ハンソーロボの担架に腰掛けて 彼はこちらを見る。

「心配してくれて ありがとう」
「え、いや。無理すんなよ」
「わかった」





保健室に行けば小さなおばあちゃんがいた。

「おや、また怪我人かい?」
「足の裏がちょっと」
「あらあら」

彼女の治療はすぐに終わった。
お菓子を勧めてくれるのを丁重にお断りして、保健室を出ようとすれば目の前のドアが開く。

「ん?」
「あっ!!?」

目を見開いた ヨボヨボな男の人。
なんか、見たことある服装。
それと、どこかで嗅いだことのある 血の匂い。

「すいません、中。入りますよね?」
「あ、あぁ」
「お先にどうぞ」

彼に道を譲り 失礼しましたと 保健室を出る。
あの血の匂い、微かだけど 覚えがある。
なんだったかな、、

教室に戻れば俺の元に駆け寄ってきた頭のツンツンした男の子。
さっきも心配してくれた子だ。

「大丈夫か?」
「うん。全然 平気」
「ならよかった」

俺 切島鋭児郎って言うんだけど と彼は笑顔を見せる。

「お前のこと血郷って呼んでいい?」
「俺?いいけど」
「よっしゃ。よろしくな!」

よろしくって笑ってやれば 俺のことも名前でいいよと彼が笑った。

「それにしても、よくあの怪我で動けたな」
「見た目ほどひどくはなかったし」
「いやいやいや 嘘だろ」

無理すんなよ まじでと心配そうな彼にありがとう と返す。

なるほどね。
あれくらいの怪我も バレたら心配されるのか。
難しい、、。




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