コラボシングル4枚同時リリース当日。
雑誌や番組などで4人が宣伝していて随分と発売前から盛り上がっていた。
私の曲もCMやニュースのエンディングとか色々な所で使われるようになったから、朱利という名前も有名になっていた。
「発売日、今日だな」
日向サンが朝食を食べながら私に言う。
「そうだね」
「少し、緊張してんのか?」
「まぁ…CDにするのは初めてだし…」
日向サンが笑って私の頭を撫でる。
「礫の歌なら大丈夫だ」
「ありがと」
学校に行くと教室は随分とざわついていた。
「おはよう、礫」
「あぁ、おはよ。翔」
「知ってるか!!?今日、朱利の手がけた曲で4人のアーティストが同時にCD出すんだぜ」
キラキラと目を輝かせる彼にえ?と間抜けな声が出た。
「みんなそれで盛り上がってんの?」
「それ以外になにがあんだよ!!朱利って、本名も性別も何にも情報出してなくて、しかもCDになるの今回が初めてなんだぜ!!」
「へ、へぇ…」
知らなかった…
そんなに知られてたのか…
「俺さ、朱利の大ファンで!!音也と那月も好きって言ってたぜ?あ、あと七海も」
「そうなんだ…」
「CMの曲さ、本人が歌ってたんだけどスゲェ上手くて!!て、礫聞いてるか?」
最近、みんなとそう言う話をする余裕もなく色々やってたからな…
全然知らなかった…
昼休みになって、携帯を見ると早乙女さんからの着信。
「もしもし?」
『Mr.御幸!!ビッグニュースデース』
「はい?」
ハイテンションな彼に首を傾げる。
『発売から2時間で…50万枚の売れマシター』
「は?」
『4人全員デース』
隣にいる翔とトキヤが首を傾げる。
「どうした?」
「何かあったんですか?」
「あー…平気。…それ、本当ですか?」
『イエスッ今日1日でどれだけ売れるか楽しみデース』
携帯を持っていない方の手で小さくガッツポーズをする。
「ありがとうございます」
『ユーの努力の結果デース』
「あ…はい。今日5人で集まるのでそのとき詳しく話聞きます」
『そうして下サーイ。ミーはユーの努力…ちゃんと見てますヨー』
そう言って聞かれた電話につい頬が緩む。
「礫?どうしたんです?」
「なんか、嬉しそうだな」
「いや、なんでもないよ。ご飯行くか」
「え?あぁ…はい」
夜。
とある料亭の個室に向かう。
日向サンには笑顔で送られた。
案内の人がドアをノックしてから開ける。
「お連れ様をご案内いたしました」
「待ってたぜ」
中を見ると4人は既に座敷に座っていた。
「お待たせしました」
中に入ってウーロン茶を頼んで蘭丸さんの隣に座る。
「じゃあまず、発売を記念して乾杯〜」
寿さんの声に微笑みながらグラスをぶつける。
「朱利は今日1日の売り上げ、聞いた?」
美風さんが頬杖をつきながら首を傾げる。
「日向サンに聞こうとしたんですけど…本人から聞いて来いって」
私の言葉に4人が笑う。
「全員、ミリオン達成だ」
「当然の結果だと思うぞ」
「すごいよ、朱利君!!」
「朱利なら当然でしょ?」
4人の言葉に、手に持っていた箸を落とした。
ミリオン?たった1日で…?
嘘…
「本当、ですか?」
「嘘言うわけねェだろ」
蘭丸さんが頭をかき回す。
「あ、ありがとう…ございます。嬉しいです、本当に」
頬に、涙が伝う。
4人は驚いた顔をしてすぐに微笑んだ。
「お礼を言うのは僕達だよ」
「俺一人じゃ、絶対…こうはならなかったです。皆さんと…仕事できて嬉しかったです」
「朱利君…」
寿さんも目をうるうるとさせる。
「あー、ヤバい…俺、幸せだ」
頬を濡らす涙を拭って笑う。
カミュさんがふっと笑って不細工な顔だという。
「すいません…皆さんと出会って、仕事ができたこと…本当に幸せです。我儘かもしれないですけど…また皆さんの歌を書かせてください」
頭を下げると、断るわけないでしょと皆言ってくれた。
「さぁて、朱利君は泣きやんだことだし…ご飯食べようか」
寿さんの声にはい、と返事をして落とした箸を拾った。
「そういえば、アイアイとコラボするんでしょ?」
「はい、今練習中です」
「今度一緒にやろうよ」
寿さんの言葉に喜んで、と返事をする。
「出来ることなら皆さんと順番にコラボしていきたいなって思ってて」
「俺も賛成だ」
「本当ですか」
ねぇ、日向サン。
私幸せです。
「じゃあ、頑張って歌書きますね」
「おう」
天国にいるであろう、アナタへ。
見えているかな…
私、逃げなくてよかった。
…何度も、救ってくれてありがとう
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