早朝、嫌なニュースが流れた。
HAYATOの事務所移籍。
一ノ瀬トキヤがHAYATOだという事実。
そのニュースを日向サンと並んでみていた。
「これ…マジかよ…」
「本当ですよ」
「知ってたのか!!?」
「まぁ、一応」
コーヒーを飲んで微笑む。
「今日は、朝が早くなりそうだね」
「…そうだな…」
「じゃあ、今日はもう準備しようか」
携帯が鳴って、届いたメールを開く。
「俺も、呼び出しみたいだし」
「…悪いな、大変なこと押し付けちまって」
「へーきだよ。心配しすぎ」
首にかけた指輪を弾いてから立ち上がる。
「朝食、作るね」
「おう、よろしく。黒崎にも持ってくのか?」
「え?知ってたの?」
日向サンの言葉に固まる。
「こないだ黒崎に会ったときに言われたよ」
「あー…バレてたか。作るよ?約束だから」
「まぁ、アイツならまだ許す」
頭をガシガシとかき回した日向サンに微笑む。
「ありがとう。じゃ、3人分…作ろうかな」
「おう。楽しみにしてるぜ」
「ちょっと待ってて」
ご飯を作ってトレーに料理を乗せて、隣の部屋に行く。
「蘭丸さーん」
「お、礫。待ってたぜ」
「ご飯どうぞ」
トレーをテーブルに運ぶ。
「そういや、ニュース見たぜ?あれ、平気か?」
「あー…大丈夫だと思いますよ。俺が何とかするので」
「え?」
驚いた顔の蘭丸さんに微笑む。
「そろそろ、最後になりそうなので」
「最後?」
「はい。そろそろ最後だと思うんです。だから、出来る限り…助けてきます」
蘭丸さんが私の頭をガシガシと撫でて笑う。
「お前なら、大丈夫だ。」
「はい…じゃあ、俺はこれで」
「無理すんなよ」
いつでも、優しいな…
自分の部屋に戻って、日向サンとご飯を食べる。
「さて、そろそろ行かねェと…準備、平気か?」
「うん、平気」
「行くぞ」
珍しく2人で家を出る。
「礫、悪いな」
「平気だって」
笑って言うと、また頭を撫でられた。
今日はよく頭を撫でられる日だな…
早乙女の部屋に、日向サンと林檎ちゃんがいる。
私は早乙女さんの机に腰かけてる。
「シャイニー、これ本当なの?」
「オーノー、こんなに早くバレバレになるとは」
「え?そんな…あの、トキヤちゃんが?」
「HAYATOだよ」
2人がこちらを見る。
「礫君は知ってたの?」
「まぁね」
「Mr.一ノ瀬を入学させたのは全てミーの一存。歌で満足させることを条件に再デビューをプロミスしマシター」
「しかし、このままだと一ノ瀬は…」
日向サンが心配そうな顔をしている。
「すでにもう手は打ってあーる」
「大丈夫だよ、日向サン、林檎ちゃん」
「けど…」
「大丈夫だから」
2人に微笑んで早乙女さんに視線を向ける。
「じゃ、俺はもう行くから」
「OKなのよ〜。あとでまた呼びマース」
「はいはい」
学園の中は随分とざわついていた。
まぁ、予想はしてたけど。
トキヤを除くメンバーがいるであろう教室のドアを開けた。
「おはよ」
「礫…」
静かな教室に溜息が出た。
「なに、お通夜でもしてんの?」
馬鹿にするような声で言うと聖川がこちらに視線を向けた。
「知らないのか?一ノ瀬のニュースを」
「あぁ、あれね…」
あーぁ、思いの外…ヤバい空気。
予想以上だった。
「ヤツがHAYATOだとすると今まで練習に遅れたり欠席の理由も納得できる」
「何が移籍だよ、何が引退だよ!!ふざけやがって!!」
「でも…すでにデビューしてるのになぜこの学園に…」
怒る翔と、悲しそうな四ノ宮。
「なんでだよ…トキヤ、何考えてんだよ…」
「クソッ俺達をからかってんのかよ」
「そんな…違います!!」
七海の声に、視線が彼女に向く。
「春ちゃん、知ってたんですか?」
「あ、あの…」
「七海?」
「ごめんなさい…私…」
「どうして言ってくれなかったんだよ」
目を伏せた彼女に溜息が出そうになる。
なんだ、この空気。
「HAYATOの仕事をこなしてここに通うことなどただの冷やかしで出来ることではない。話せぬわけがあったのだ…察してやれ」
みんなが悔しそうな、悲しそうな顔で目を伏せる。
「一ノ瀬とはあれから連絡は取れたのか?」
「夜中に一度電話が…何処?って聞いたら切れた」
「なんだよ、それ…どこにいんだよ、アイツ」
仲間のくせに、信じてやろうともしないわけ?
ポケットの中の携帯に手を伸ばす。
レンは一度も口を開かないしし。
窓の外を見るレンに視線を向ける。
本当に、嫌な空気だ。
こんなことになるなら、グループでやろうとなんてしなきゃいいのにね。
伸ばした手をだらりと落として、壁に背中を預けて溜息をついた。
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