テスト直前。

今回はドラムとギター、ベースを使って曲を作る。
まぁ、この3つはもう収録済みだ。
機械でもよかったけど、全部自分で弾いた。

「礫、最近休み時間の度に練習に行ってるよな」
「1人で全部やるんだからね…大変なんじゃないかな?」
「放課後も、練習している姿を見ますし…負けてられませんね」

3人の会話を聞きながら教室を出る。
最近は3人と話す暇もないくらいに練習していた。
てか、音楽に入り浸ってる。

そんな感じで、明日はテスト。
私は気付けば家でも歌を歌っていた。

「礫、ご飯だぞ」
「ん、食べる。」
「調子はどうだ?」

ご飯を食べながら、日向サンが問いかける。

「順調、かな。楽しみにしててよ。日向サンが作った俺がどんなもんか」
「楽しみにしてる。なんか、最近お前が女だってことを忘れるよ」
「自分でも忘れてる」

私がそう言うと日向サンは困ったように笑った。

「みんな、どんな歌…歌うんだろうな…」
「そうだな…まぁ、楽しみにしとけ」
「そうする」

日向サンがお風呂に入っている隙に前の世界の携帯を開く。
待ち受けの写真に私は微笑んだ。

「もう少しだけ…ここで、頑張ってもいいかな?…ちょっと待っててくれる?」

返事なんてあるわけないけど、私は携帯を閉じる。

「礫、風呂いいぞ」
「あ、了解」

女を忘れる云々の話をしていたのにも関わらず風呂上がりに、タオルを体に巻いて出て行ったら頭を拳骨で殴られた。

「礫!!お前、女なんだから服着てから出て来い!!」
「痛い!!!ひでぇな」
「はぁ…お前、大事な時は女だって忘れるなよ」
「はい…」


****


テスト当日
外の画面からテストの様子が見れるようになっていた。

今歌ってるのは七海のペア。

「上手くいったみたいだな…」
「礫、そろそろ礫の番ですよ」

トキヤの言葉に私は頷く。

「トキヤ、翔、レン!!!行ってくる」
「楽しみにしています」
「頑張れよ!!」
「お手並み拝見、かな」

レコーディングルームに行くと日向サンと林檎ちゃんがいた。

「頑張れよ、礫」
「任せろ」
「あ、礫君。あとでUSB返すね」
「それ、今言うかよ…」

緊張感ないな、と苦笑しながら中に入ってヘッドホンをつけた。


****


流れてきた歌に、私達は息を飲んだ。

「…嘘、だろ…」
「流石、というべきかな…」

心の底から歌っている。
表情は無表情に近いけど…
それでも、心を掴んで離さない。
高音と低音が入り混じってるのに、こんなに綺麗に歌うなんて…

「スゲェな!!な、トキヤ」
「イッチー?」

2人声をかけられても、何も反応が出来なかった。
動けない。
こんな歌、初めて聞いた…

「す、ごい…です…心を掴んで、離さない…気持ちの籠った歌」
「礫が歌っているからかな…」
「スゲェ!!マジで!!超憧れる」

3人で話しているとAクラスの3人が出てくる。

「ねぇ、トキヤ。あれ歌ってる人知り合い?」
「あぁ。礫だ…」
「スゴイね!!友達になりたい!!」
「気持ちがこもっているな…それに歌声がすごく安定している」
「可愛いです〜」

音也、真斗、那月の3人もただ画面を見つめていた。

歌が終わって、私は校舎の外に出た。
曇天が、今にも雨を降らしそうだった。


****


「お疲れ、礫」
「どーだった?お2人さん」

私がそう言うと林檎ちゃんは私に抱き着いた。

「もースゴイ!!凄すぎ!!礫君スゴイよ〜」
「俺も、スゴイとしか言えないな…気持ちも籠ってて、声も安定してる。いう事なしで完璧だ」
「ん、よかった。ちょっと頑張った甲斐あったな」

頭を撫でてくれた日向サン。

「ん〜…あ、USB頂戴」
「あ、これねっ!!なんか、シャイニーも聞いたんだけど…使いたい曲があるって!!よかったわね」
「あ、あぁ…そこまで行ってたのか…」

外に出ると、誰かが飛びついてきた。
林檎ちゃんよりは痛くない。

「翔?」
「マジ、凄かったぜ!!みんなびっくりしてた」
「そりゃ、よかった」

そこには知らない3人がいる。
あ、いや1人は一方的に知ってる。

「俺、一十木音也!!Aクラスだよ。よろしく」
「聖川真斗だ」
「四ノ宮那月です。凄かったです〜」
「ホントに、すごかったよ!!」

みんなの言葉に、ありがとうと返して笑った。



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