ST☆RISHのみんなには沢山の仕事が舞い込んでいるらしい。
私も彼らとの打ち合わせや、コラボ、ツアーの準備で毎日忙しく生活していた。
「日向サン」
「あれ、礫?どうした?」
「今日の夜、空いてますか?」
事務所に顔を出した私の言葉に日向サンが手帳を開く。
「空いてるぞ」
「じゃあ、夕飯一緒にどうですか?あ、俺が作るんで」
「いいけど。お前仕事は?」
「今日はこれで上がりなんです。家、勝手に入ってご飯作っておきますね」
「わかった。早く帰る」
すぐに仕事を再開した日向サンを見て小さく微笑み、久々の部屋に向かった。
「うわ、久しぶりに来たー」
相変わらず綺麗な部屋に苦笑しながら台所に立つ。
嶺二さんに頼んで買ってもらったお酒を冷蔵庫で冷やして、料理を始める。
どれくらい経ったか、料理が終わったころ鍵が開く音がした。
「ただいま」
「おかえり、日向サン。もう、出来てるよ〜」
テーブルに料理を並べてお酒を置く。
「酒、どうしたんだよ」
「嶺二さんに買ってもらった。日向サンが飲むって言ったら代わりに買ってくれた」
呆れたように溜息をついた日向サンにお酒を注ぐ。
「ほら、食べて?」
「おう、頂きます」
部屋着に着替えた日向サンは凄く懐かしい。
「ん、相変わらず美味いな」
「ありがと。頑張ったんだよ?」
「サンキュ」
笑って、頭を撫でてくれた日向サンに私も微笑む。
懐かしい空間だな…
ご飯を終えて、ソファに座る日向サンの隣に腰かける。
「お前な…慣れてるからって告白された後の男の横に座るなよ。警戒心なさすぎ」
「日向サンって、結構鈍い?」
私はクスクスと笑いながら、日向サンの手を握る。
「今日は、返事をしに来たんだよ」
「は?」
「…日向サン」
じっと、日向サンを見つめて微笑む。
「好きだよ」
「は?」
ずっと私の傍にいてくれた貴方が、ずっと私を大切にしてくれた貴方が…
あの日、私を生きさせた貴方が…
「好き」
沢山考えて、日向サンだって、思った。
きっと、私は彼の傍に居たいんだと…そう思った。
「本気か?」
「人の告白を嘘にしないでよ」
日向サンはギュッと私を抱きしめる。
「好きだ」
「うん、ありがとう」
「もう…離さねぇから」
「私も、だよ」
少しして背中に回された腕が離れ、目が合う。
「…少し恥ずかしいな」
「そう?あ、そうだ…ちょっと待ってて」
私はソファから立ち上がって、鞄の中からあるものを取り出す。
「どうした?」
「これ、渡したくて」
日向サンを想って書いた詩を差し出す。
「これ…」
「朱利が私に詩を贈ってくれたように、私も日向サンに贈りたかったんだ」
日向サンは譜面をじっと見つめる。
「君に贈る最初の詩」
「え?」
「タイトル…付けるとしたらね?…これからもたくさん書くけど…始まりはたった一つだけだから」
「サンキュ。嬉しい」
笑ってくれた日向サンに、私も微笑む。
「幸せになるよ、きっと」
「朱利への報告か?」
「うん」
「…幸せにする。絶対に」
抱きしめられた体。
きっと、幸せになるから。
…そこから見守っていてね?
****
最近公私共に両立している。
なんて、初っ端から言いながらも私はHE☆VENSとST☆RISH、そしてQUARTET NIGHTの3組が同時に出演する歌番組の撮影に来ていた。
しかも、司会は日向サンと林檎ちゃん。
「人多いな…」
「礫!!」
私に飛びついてきたナギの頭を撫でる。
「今日はよろしくねっ」
「んー、よろしく」
綺羅さんはじっとこちらを見つめ、瑛一さんは溜息をついていた。
「お前は何故、すぐに礫の所に行く」
「え?だって、僕…礫のことだーい好きだもん。ねー?」
「ねーって言われても困る」
溜息をついた私の腕に抱き着いたのは茶色のふわふわした髪。
「ダーメ。礫君は僕らの!!」
「嶺二さん、大人なんだから…ナギみたいなこと言わないでよ」
「わー、今日も可愛いです〜」
逆の腕に抱き着いたふわふわの髪に私はまた溜息をつく。
「四ノ宮も、離れろ。動けない」
「あたしも、ぎゅー」
後ろから私に抱きついた林檎ちゃん。
「林檎ちゃんもなにしてるんですか…」
「お前、なにしてんだよ」
「林檎、お前までなにやってんだ」
呆れた顔の蘭丸さんが嶺二さんを、困った顔をしている日向サンが林檎ちゃんを引き剥がし、翔とトキヤが四ノ宮を引き剥がす。
そして、無言で綺羅さんがナギを剥がした。
「あーありがとう、みんな」
「礫、平気か?」
顔を覗きこんできた綺羅さんに微笑む。
「平気ですよ。わざわざありがとうございます」
番組の撮影が始まる。
始まる前と変わらずワイワイとした撮影。
そのまんまじゃんか…
カメラの前で切り替えるってことを知らないのか…
私はまた小さく溜息をついた。
「それじゃあ、ラストに御幸と3組でメドレーを」
「はい」
「今回は何とー!!?」
「なんと、俺が歌っちゃいます。皆と一緒に」
カメラに手を振る。
「今回限りの特別メドレー、お楽しみに」
ギターを持ってカメラの前に立つ。
私はこれからも迷い、足を止め、後ろを振り返る。
けど、きっと私は…貴方と一緒になら前に進んでいける。
カメラを指差して微笑む。
「まだ見ぬ未来へ…貴方と一緒に」
キャーッと聞こえた歓声。
ギターを奏で始める。
私は、きっと…
私として…未来へ行ける。
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