家に帰って、影山にみんなに迷惑かけてごめんなさいと伝えてくれと送った。
「さてと…GWがカギかな…」
ノートを開いてパソコンを使いながらデータをまとめていると携帯が鳴った。
「もしもし?」
『麗亜チャン』
「及川…あー、サボってごめん…」
『…珍しいね、麗亜チャンがサボるなんて』
怒ってる声にヤバいと思った。
「ごめん…」
『麗亜チャン。俺怒ってる』
「あー、うん。わかってる」
あー、やっぱりメールの一つでも入れておくべきだったか。
家に帰ってから行けばよかった…
『何してたの?今日』
「人と会ってた、けど」
『へぇ…それって、俺より大事なの?』
及川より大事?
「及川が大事だから会いに行ってたんだけと」
『は?』
「あー、まぁ詳しくは今度説明するから…今日はごめん」
電話の向こうからあーとか、うーとか意味のわからない声が聞こえてから、名前を呼ばれた。
「何?」
『…俺って頼りない?』
「頼りにしてるけど?」
私の返事にそっか、と呟いて無言になる。
何かよくないこと考えてるのかな…
「及川」
『え?何?』
「信頼してるし、信用してるし、大切だと思ってる。だからこそ…私にはやるべきことがある」
及川が無言のままで、通話が終わることもない。
短いような長い時間が過ぎる。
『馬鹿』
「は?」
『そんなこと言われたら何も言えないじゃんかー!!』
一方的に叫ばれ、通話が切れる。
「…意味わかんね…」
通話が終わった携帯にはメールが来ていた。
みんないいものが見れたって言ってました。というシンプルな影山からのメールと電話番号がかかれた宛先のわからないメール。
その番号にかけると覚えのある声。
「繋心」
『おう。名前書くの忘れてたんだが、平気そうでよかった』
「まぁなんとなくわかった。えっと…まぁ色々説明するから…聞いてもらえる?」
いつまでも聞いてやる、という返事に頬が緩む。
「ありがとう。じゃあ…繋心と付き合ってた頃の話から」
『あ、あんま恥ずかしい話から出してくんなよ!?』
「どうだろう」
クスクスと笑って、口を開いた。
****
次の日、眠い目をこすりながら朝練に顔を出す。
電話で話しすぎたな…
「おはよう」
「寿先輩!!」
駆け寄ってきた1年に昨日はごめんねーと笑って、ベンチにタオルとドリンクを置く。
「岩泉もごめん」
「気にすんなって。あー、けど及川が…」
「それは平気。昨日謝ったから」
「そうか」
ドリンクとタオルを1つ持って、及川に近付く。
「お疲れ」
「…寿サン、昨日の電話…ごめんねー」
「勝手に切ったやつ?まぁよくわかんなかったけどいいよ」
タオルを及川の頭にかけて微笑む。
「迷惑かけてごめんね」
「次はないよ?」
「ん、了解」
及川から離れて、昨日ファイリングしたデータを見ながら練習を見る。
どうやって及川に話せばいいかな…
荒れてるボールを眺めながら溜息をつく。
「あ、寿先輩」
「どうかした、金田一?」
「昨日、何かあったんですか?」
首を傾げた彼にニコリと笑う。
「ちょっと用事があってさ。伝言頼むの忘れたんだよね」
「そうなんですか…。あの…先輩って、及川さんと仲良くなったんですか?」
「え?」
不思議そうに言った彼に、私は首を傾げる。
「なんで?」
「昨日、及川さん凄い心配してて…練習に集中できてなかったんです、応援の女子も無理矢理帰らせてて…」
女子を無理矢理?
及川ってそんなことする人だっけ?
いつだってヘラヘラと笑顔貼りつけて、愛想振りまいてたのに?
「それ、本当?」
「はい。だから、仲良くなったのかと…」
視線を及川に向けると、いつも通り指示を出しながら練習する姿。
「んー…仲良くなった…わけじゃない、かな?」
「そうっすか…」
「うん。まぁ、ありがとう。」
金田一の肩をポンッと叩いて、部室に向かう。
やっぱり、気付かれてたかな…
「…大事な時期だし…やっぱり、あれかな…」
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