「岩泉」
「あ?どうした、寿」

休み時間、岩泉の教室に足を運んだ。

「いやさ、GWは合宿やるよね?」
「一応そのつもりだ」

岩泉の前の席に座る。

「また学校の施設泊まる感じでいいの?」
「まぁ、いいんじゃね?」

ノートに学校施設と書き込む。

「了解。GW中は体育館での練習と、外練と練習試合、だよね?」
「そうだな。あとは筋トレとかもだろ?」
「そうだね…じゃあ練習メニューはこっちで考えておくよ」

岩泉に言われた筋トレという文字をノートに書く。

「つーか、及川に相談しなくていいのか?」
「え?あぁ…アイツにしても真面目に答えてくれないでしょ」
「あぁ…そうだな」

呆れた声に私も溜息をつく。

「今頃女の子とお楽しみ中だから」
「お前、苦労するな…」
「岩泉もね」

ノートをパタンと閉じて、溜息をつく。

「お前、またバレーするようになったんだろ?」
「誰から聞いたの?」
「及川。嬉しそうに話してたぞ」

嬉しそうに話す及川の顔が浮かんで、苦笑した。

「中学卒業前に突然学校に来なくなったと思えば、バレー辞めてマネやるとか言い出して…結構びっくりしたんだぜ?」
「あー、うん…ごめんね?」
「何で謝ってんだ?」

首を傾げた彼にただ目を逸らした。
あのことを知ってるのは及川と繋心だけだもんな…

「寿?」
「…いや、なんでもない。じゃあ、教室戻るね」
「お、おう…じゃあな」

廊下に出て、また溜息が零れた。

「いつか、みんなに話さないといけないかな…」

手に持ったノートに視線を落とす。

「寿サン?」
「あ、及川…」
「なんで岩ちゃんのクラスにいるの?」

彼の視線が鋭くなる。

「部活関係で相談」
「俺には?てか、部長は俺じゃない?」
「及川の周りっていつも女の子いるじゃん」

及川が目を丸くする。
なんで、驚いてるの?

「…そう、だね」
「及川?」
「ごめんね、寿サン」

…何に対しての謝罪?
私に背中を向けて歩いて行く彼をただ、見つめるしかなかった。


****


「及川の周りっていつも女の子いるじゃん」

麗亜チャンの言った言葉が頭の中を回る。
そうだ、俺のせいで麗亜チャンは傷ついてきたんだ。
俺は気付いていたのに、助けられなかった。
いつも俺のために、俺達のために頑張ってる麗亜チャンを苦しめた。
もっと、傍に行きたい。
学校でも、2人でいるときみたいに話したい。
けど、それは…

「無理、かな…これ以上、傷つけたくないし…」

右手を堅く握りしめる。

「もう、傷ついてほしくない…」
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