部活終わりに集合した部員。
最初から比べると随分と減ってしまった。

「GWの部活についてマネージャーから連絡だよ〜」

気の抜けた及川の声を聴きながら手に持っていたノートを開く。

「GWは学校の合宿施設を借りて泊まり込みで練習。レギュラーと準レギュラーは強制参加。他は自主参加ね。ご飯はマネージャーの私が作るから…アレルギーがある人は報告に居てね」

手料理!?と騒がしくなる部員を岩泉が注意する。

「その日ごとにメニューは変わると思うけど練習試合とかもやっていくからよろしく。GWの前日、学校が終わったら部活をやらずに帰宅。荷物を持って体育館に集合ね」

諸注意をいくつか言ってから、ノートをパタンと閉じる。

「質問いいですか?」
「何?」
「寿先輩も泊まるんですか?」
「その予定だよ。時間の無駄でしょ?」

私の言葉に及川がすごい勢いでこちらを見た。

「な、何…?」
「あそこ、大広間しかないよね?」
「え、うん」
「寿サン、そこに一緒に泊まるとか言わないよね?」

真剣な瞳の及川に首を傾げる。

「一緒に泊まるつもりだけど?」
「ダメ!!絶対ダメ!!」
「はぁ?なんで?」

視界の端で岩泉が頭を抱えている。

「危ないよ!!だって、男しかいないんだよ!?何があるかわからないよ!!?」
「…は?」
「寿サンは帰るべきだよ!!ね?」

ね?って言われても…
帰ると仕事回らないんだけど…

「帰らないよ?帰ったらみんなの準備間に合わないし」
「ダメ!!絶対ダメ」
「…女がいたら困るようなことするつもりなの?…そう」
「え!?ちょ、それは違うよ!!?」

慌てる及川を無視して、施設の間取りを思い出す。
…大広間がダメなら待合室でいっか…

「じゃあ私は待合室の所のソファで寝るからそれでいいよね?」
「え!?良くない!!全然よくないよっ!!」
「はい、他に質問ある?…ん、ないねー。じゃ、合宿頑張って。じゃあ解散」

横で喚く及川を無視して部員を解散させる。

「寿、及川放っておいていいのか?」

岩泉が小さな声で私にいう。

「…どうせ、いじけるんだろうね」

頬を膨らませる及川に溜息をつく。

「子供か、アイツは子供なのか?」
「まぁ、ガキだろうな…」
「…だよね…」

はぁ、と肩を落とす。

「私が泊まっちゃいけない理由ってなんだろう?」
「あー…ほら、お前女だからさ…な?心配なんじゃね?」
「心配ね…」

岩泉が及川に視線を向けてから、溜息をつく。

「アイツは、お前のことスゲェ大事にしてるから。」
「それは、知ってる」
「だから、許してやれよ?…お前がサボった日のアイツは尋常じゃなく不安定だった」

それも知ってる。
もう一度溜息をついて、及川に近づく。

「いつまでいじけてるの?」
「麗亜チャンが悪いんだよ!!俺は麗亜チャンにもう傷ついてほしくないから…」
「だから、及川が守ってくれるんでしょ?」
「え?」

膝を抱えていた及川がこちらを見る。

「頼りにしてるよ」

自分より低い位置にある及川の頭を撫でて体育館を出ていく。


****


頭を撫でられた及川の顔が寿が消えてから真っ赤に染まる。
「…岩ちゃん、岩ちゃん、岩ちゃん!!」
「はいはい、なんだよ」
「なんで、あんなにカッコイイの!!?」

いや、女にカッコいいって何だよ…

「俺の心臓が死んじゃう」
「なんでもいいけどウゼェ。さっさと片付けろ」
「…はい」
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