明日からGW。
私たちは今日から合宿か…
荷物を持って合宿場に一足先についた私はドリンクの準備をしていた。
「麗亜チャン」
「ん?あぁ、及川…早かったね」
「麗亜チャンが一番にいると思ったんだ〜」
ニコニコと笑いながら調理場の入り口にしゃがみ込む。
「疲れてるなら寝てたら?」
「疲れてないよ。麗亜チャンのこと見てたいだけ」
「…なにそれ」
ジャージの袖をまくって溜息をつく。
「麗亜チャン」
「ん?」
「IHだね」
「そうだね」
カチャカチャと私がドリンクを作る音だけが響く。
「もう…受験生、だね」
「そう言えば、そうか…大学受験考えないといけないね」
「麗亜チャンは、どこ行くか決めた?」
ドリンクを作っていた手を止めた。
「今は、及川達を支えるので精一杯」
「そっか」
「うん」
完成したドリンクを冷蔵庫に入れる。
冷蔵庫から野菜を出して、包丁を出す。
「初日はやっぱりカレー?」
「定番じゃない?」
「久々だな〜麗亜チャンの手料理」
準備をしながら首を傾げる。
「食べたことあるっけ?」
「あるよ!!」
「覚えてないな」
クスクスと笑いながら言うと及川が拗ねたような顔になる。
「馬鹿」
「ごめんって。忘れてないよ」
ジャージの裾を及川が引っ張る。
「なぁに?」
「…あ、のさ…」
「ん?」
及川が顔を伏せた。
「俺さ…」
「及川ぁぁぁああ」
「うわっ」
調理室の入り口に現れた般若のような顔をした岩泉。
「集合時間すぎてんだよ、クズ川」
「え!!?嘘!!!?」
頭を掴まれた及川の顔が真っ青になる。
「ほら、行くよ?合宿スタートなんだからさ」
「おう。行くぞバカ川」
「岩ちゃん、痛い!!痛いよ!!?」
2人を見ながらクスクスと笑う。
「最後の合宿だね」
私の言葉に2人が静かになった。
「…そうだな」
「勝ってよ?絶対」
「もちろん!!ね、岩ちゃん?」
「当然だろ」
合宿が始まった。
ドリンクにタオルに、夕飯の準備に。
正直忙しい。
「寿」
「監督?どうしました?」
「練習試合の日程だ。把握しておいてくれ」
渡された紙に視線を落とす。
「あ…」
「どうした?」
「いえ、了解です」
紙を握る手に力が入った。
「寿先輩?紙、グシャってなってますよ?」
「え?あ、あぁ…ごめん。考え事してた」
声をかけてくれた国見に微笑んで、調理室に戻る。
「大丈夫。私はもう…あたしじゃないんだ」
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