桜の花がひらひらと舞う。
今日は入学式だ。
「麗亜チャン、おはよ〜」
「おはよう」
「髪の毛、ばっさり切ったね」
腰まであった髪は肩辺りまで短くなった。
長いと濡れたら乾かすまで時間がかかるから。
「1年生、沢山入るんだろうね」
「明日からだけどね」
3年の私たちはお手伝い生徒。
といっても、2人だけだけど…
「おぉ、来たか」
「どうも」
「こんにちは〜」
監督が手招きする。
「悪いな、2人共」
「全然平気ですよ〜。ね?寿サン」
「まぁ」
そう、私たち2人は監督に呼ばれここに来た。
「じゃあ、及川は案内を」
「は〜い」
「寿はこっちの手伝い頼む」
監督に言われた通り受付の椅子に座って、新入生からの提出物を回収する。
「あれ、寿先輩?」
「あ、久しぶりだね金田一」
「お久しぶりです」
ぺこりと頭を下げた彼に、笑顔を見せる。
「寿先輩、ここだったんですか?」
「そうだよ」
「及川さんと一緒ですか?…仲悪かったですよね?」
「一緒だよ。まぁ、話はまた今度にしようか」
今日のプログラムを渡して微笑む。
「及川は向こうで案内してる。挨拶しておきな」
「あ、はい。じゃあ、また」
金田一は案内をしている及川に声をかけていた。
「仲悪かった、ね。」
アイツらには、そう言う風に映ってたのか。
「お疲れ様、麗亜チャン」
受付が終わって、会議室で休憩していた私の元に来た及川がひらひらと手を振る。
「お疲れ。国見と会えなかった」
「俺は会ったよ?」
「あれ?…まぁ、いやでも明日には会うか」
「まぁね」
及川が隣の椅子に座る。
「金田一に、及川さんと仲悪かったですよね?って言われた」
「俺も言われたよ」
「…そうやって、映ってたんだね。私たちは」
「麗亜チャン、冷たかったもん。真剣すぎて、周りに興味なかったでしょ」
思い出してみれば、そうかもな…
「恋愛とか、してなかったでしょ?麗亜チャン」
「いや、してたよ」
「え!!?」
「彼氏いたし」
支給されたお茶を飲んで、頬杖をつく。
「知らないんだけど」
「なんで、アンタに教えなきゃなんないの」
「誰?どんな奴?」
珍しく真剣な顔した及川に私は吹きだした。
「なにそんな真面目な顔してんの」
「いいから」
「……社会人だよ。バレーやってる人。」
今頃、なにしてんだろうと考えながら視線を手元のお茶に落とす。
「今も付き合ってんの?」
「まさか。別れたよ。一方的に別れ告げて逃げたんだ」
「そっか〜。麗亜チャンにいたのか〜」
いつもの及川に戻った…
「あの事、言う勇気がなかった。間近で、バレーしてるあの人を見てられなかった」
「…そっか…。ごめんね?」
「何に対する謝罪だよ、それ」
私はクスクスと笑って、椅子の背もたれに体を預ける。
「今年で最後だね」
「そうだね〜」
「勝ってよ、絶対」
彼は微笑んで、迷いなく頷いた。
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