2回戦が始める。
隣コートで試合をする伊達工と烏野。
試合が始まって早々繰り出された例の速攻。
「出たよ、化け物速攻」
「ホント、天才ムカつくわ〜」
影山が、日向君の手元にボールを運んでるわけね…
「ちゃんと見た感想、どうだ?」
「ん?確かにキツイけど…オンオフの区別がつけば止めるのは難しくないんじゃないかな…それと、穴は沢山ある」
「…寿、スゲェ怖い顔してる」
「え?」
やっぱり、まだ未熟だね…
第一セットは烏野が獲った。
そして、青城はWUに入る。
「どうなると思う?寿」
監督の質問に隣コートを見る。
「流れは烏野ですが…慣れてきてますね、相手ブロック」
「同じ展開は無理だろうね〜やっぱり」
「はい」
WUに視線を戻す。
みんなの動きは悪くない。
「麗亜チャン」
「及川?どうしたの?」
「WU…ちょっと、手伝わない?」
こちらに投げられたボールを咄嗟にとって、笑う。
「まぁ、いいけど…」
「寿サン、入るよー」
及川の言葉に部員がぴたりと足を止める。
「え、寿先輩!!?本気で!?」
「さすがに手は抜くから心配しないでー」
「それでもお前は怖いよ!!」
「んー花巻は倍がいいのかなー?」
コートに入って、ボールをあげる。
「レシーブ、1本交代―。及川の列と交互ねー」
「「はいっ」」
****
こちらの試合が終盤に差し掛かった時隣コートから聞こえた歓声。
烏野が勝った。
なんだかんだ言ってストレート勝ちか…
あの鉄壁を壊すとは…
「さすがだね…」
次は及川のサーブ。
こちらを見た及川がニコリと笑う。
「王者もダークホースも全部食って全国に行くのは青城だよ」
サーブは安定してる。
スパイカーとの連携も問題なし。
烏野同様、青城もストレート勝ち。
「お疲れ様、みんな」
「おう」
「ありがとうございます」
問題は、明日か…
笑いあう彼らを見ながら、そう心の中で呟いた。
学校に戻って反省会と軽い練習をして解散した。
「及川、これ映像ね」
「あ、ありがとー」
「くれぐれも夜更かしなんかすんじゃねーぞ」
岩泉の言葉に及川が笑う。
「岩ちゃんは俺のお母ちゃんですか?」
「あ?」
「ゴメンゴメンゴメン!しないしない!コンディションは万全で行くって!」
言い合う2人を横目に見ながら私は映像を見つめる。
「寿、お前帰らねェのか?」
「あぁ、うん。鍵は置いておいて。閉めておく」
「危ないよ〜?待ってようか?」
心配そうな及川に首を横に振る。
「平気。早く寝て、体休めてね」
「おう」
「わかった」
ヘッドホンをつけて、画面を見ながらノートにペンを走らせる。
「寿…いつになく真剣だな」
「寿サンは烏野に知り合い多いみたいだし…新勢力の実力も分かってるからね〜念には念を?」
「…お前、まだ拗ねてんのか?」
「別にー」
ノートに埋め尽くされていく文字。
「もっと、何か…」
何度も映像を繰り返して、スローにしてそれで増えていくノートの文字。
「足りない、足りない…」
ヘッドホンを首にかけて時計を見ると随分と時間が経っていた。
「…帰らないといけないかな…いや、あと10分だけでも…」
もう1度ヘッドホンをつけようとしたとき携帯が鳴る。
「もしもし」
『あれ、出た。もう家?』
「まだ学校」
『やっぱりね〜』
どこか呆れたような及川の声に苦笑する。
「ごめん」
『今から俺の家、来なよ』
「え?」
『これから夕飯自分で作るの大変でしょ?俺の母さん多めに作ってくれたから』
時計をもう1度見て、そういえば夕飯作れないなー…と心の中で呟く。
「けど、悪くない?」
『研究内容も話したいし。ね?』
「わかった。これから行く」
『待ってるね〜』
電話を切って帰る準備をする。
今度及川のお母さんにはちゃんとお礼しないと…
暗い道を駆け足で、及川の家に向かった。
「あれ、案外早かったね」
「遅くなると悪いでしょ。急いだ」
「そっか、じゃあ俺の部屋」
及川のお母さんからご飯を頂き、それを食べながらノートを広げる。
「すごい書いたね…」
「可能性があるのは全部書いたよ。ん、じゃあ…まず…」
1つ1つ、説明しながら映像を回す。
「あー、もうこんな時間」
11時前を指す時計を見て小さく欠伸を零す。
「私は帰るよ。遅くまでごめん」
「送ろうか?」
「平気。及川もそろそろ寝てね?」
鞄にノートなどをしまいこんで立ち上がる。
「明日、絶対勝つよ」
「うん」
「じゃあ、おじゃましました」
玄関まで見送りにいた及川に手を振って家の方へ歩いて行く。
「あ…」
「どうしたの?」
私は足を止めて振り返る。
「信じてるよ、徹」
「っ!!!!?麗亜チャン…!?」
「じゃあ、おやすみ」
去っていく背中を見ながらドアに背をあててしゃがみ込む。
「突然名前呼びとか反則だよ…それに、あの笑顔…」
こんなの絶対に負けれないじゃん。
元から、負けるつもりなんかないけど…
「よしっ頑張ろう…」
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