「あれ、結構ピンチじゃん」
「本当だね〜」
「アップは?」
監督がこちらを見る。
「バッチリです!」
私はタオルとドリンクの籠を床に置いて及川にゼッケンを渡す。
「5番と6番じゃない?」
「俺も同意見」
「頑張れ」
ホイッスルが鳴って、女子の歓声の中及川がコートに入る。
「お疲れ様、国見」
「先輩もお疲れ様です」
「ありがと。これ、タオルとドリンク」
コートに立った及川が5番の彼を指差す。
「いくら攻撃力が高くてもさ…その攻撃まで繋げなきゃ意味無いんだよ?」
5番を狙って打ったサーブ。
案の定レシーブできなかったボールは2階の手すりにぶつかる。
「うん、やっぱり…途中見てたけど…6番の君と5番の君。レシーブ苦手でしょ?1年生かな?」
2人の表情が険しくなる。
「…じゃあ…もう1本ね」
やっぱり、レシーブできなかったボールが横に飛ぶ。
烏野ベンチからは叫び声。
「おっあと1点で同点だね〜」
「おい!コラ!大王様!!俺も狙えっ とってやる!!」
6番の小さな少年がじたばたと暴れる。
「大王様?」
なにそのあだ名…
「みっともないから喚くなよ」
「バレーボールはなぁ!!ネットのこっちっ側にいる全員!!もれなく味方なんだぞ!!」
1番が指示を出してみんなが移動する。
レシーブが得意な主将君が守備範囲を広げてる…
「…でもさ1人で全部は――守れないよ!!」
端にいる5番をピンポイントに狙ったサーブ。
幾分か威力が落ちてたせいか、上がったボールを及川が見つめる。
「おっ取ったね。えら〜い。ちょっと取り易すぎたかな?でもこっちのチャンスボールなんだよね」
弧を描いて落ちるボールを及川が上げる。
「ホラおいしいおいしいチャンスボールだ。きっちり決めろよお前ら」
セッターが上げたボールにブロックを振り切り追いついた金田一。
しかしその前に現れた6番。
ワンタッチされたそのボールが烏野のチャンスボールになる。
「今度は俺が叩き落としてやるよ!!」
金田一が叫ぶ。
6番が地面に足をつけた瞬間、向きを変えて走り出す。
反対側に飛んだ彼。
ブロックは、振り切ってる。
「及川!!!!」
私の声に反応して動くより先に彼のスパイクが決まった。
「へぇ…!!」
及川が目を輝かせた。
「整列」
審判の声が響く。
「負けた、か…」
影山のトスに、追いついた。
あの6番…あんなに小さいのに…
影山は2階をみてきょろきょろと何かを探してる。
「寿サン」
「はい、タオル」
「…ごめんね」
「今回は、別にいい」
申し訳なさそうな彼の背中を軽く叩く。
「タオルとドリンク自由に取って」
影山の視線がこちらに向いて、目を見開いた。
「トビオちゃん、驚いてるね」
「そりゃ、そうでしょ」
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