話し声が聞こえて目を開く。
見覚えのない古びた天井を見つめてから、首だけ動かして周りを見る。
遠くに4人が見えた。
背中の傷を隠すようにかけられたエプロン。

ぎしぎしと嫌な音を立てながら自分の体を動かす。

「…雨、止んだみたいだね」

渚の声がはっきりと聞こえた。

4人が外に出ていくのを見ながら、自分が寝転んでいた椅子に座る。

胸の痛みも息苦しさも消えた。
頭はまだ、ぼんやりとしてるけど…

「朱希…もう、大丈夫か?」

外から戻ってきた遙さんが俺の顔を覗きこんだ。

「……平気」
「突然倒れたからびっくりしたんだよ!!?」
「…悪い」

真琴さんの瞳がじっと、こちらを見ているのに気づいて小さく笑う。

「大丈夫っすか?真琴さん」
「俺は、平気だよ…。けど、朱希…」
「だから、言ったじゃないっすか…トラウマを甘く見ちゃダメだって」
「…うん、ごめん。あのさ…今、みんなにも話したんだけど…俺は、」

真琴さんが言おうとしていることはきっとそのトラウマについてだろう。
彼が隠してきた過去…

「聞かないよ」
「え?」
「…聞くわけには、いかない。俺は…真琴さんに何も話してない。だから、聞く資格はない」

ドクドクと、鼓動を刻む胸をそっと撫でて俺は笑う。

「けど、俺は…朱希にも知っておいてほしくて」

真琴さんの言葉に首を横に振る。

「…聞けない」
「なんで…」
「真琴さんだけ話すのはフェアじゃない」

何か言い返そうとした真琴さんを遙さんが止める。

「やめてやれ」
「ハル…」
「朱希にも…背負ってるものがある。…それは、簡単に話せるようなもんじゃないだろ」
「…わかった」


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