「すいません、遅れました」
「あ、朱希!!おはよう」
「おはようございます」
手すりにつかまってプールを見ている真琴さん達の横に立つ。
「今日、種目ないのに来て貰っちゃってごめんね」
「いや、別に…見ておきたいんでいいっす」
「そっか」
召集場所に向かう遙さんを見送ってベンチに座る。
レースが始まり、歓声が増えていく。
「あ、次はハルちゃんと凛ちゃんの番だよ」
「松岡さんはどっちを応援するの?」
「もちろん、どっちも!!」
凛と遙さんか…
プールを見つめながら小さく息を吐く。
「ハルちゃーん、ファイトー」
スタート台に乗った2人。
レースが始まった。
「速い…」
「凛ちゃん格段に前より速くなってる。どんどんハルちゃんを引き離していくよ」
「ストロークでハルが負けてる!?」
ターン前にできた凛と遙さんの差。
「ハルちゃんが追い上げてる!!」
ターン後から追い上げてきた遙さん。
差はどんどん縮んでいく。
「ハルーっ」
「遙先輩!!!」
ゴールに手をついた2人。
結果の出る液晶には凛の隣に1と言う数字が写った。
「…凛が、勝った…のか…」
「ハルが、負けた…」
「しかも…予選落ちなんて…」
プールの中で嬉しそうにガッツポーズをした凛。
そして、俯いたままの遙さん。
俺はそこから目を逸らす。
俺には皆みたいに落ち込めなければ喜ぶこともできなかった。
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