林檎飴を齧りながら祭りの明かりが見える方へ歩いて行く。
「朱希君はいつもまで僕のことを苗字で呼ぶんですか?」
「え?あぁ…そういえばそうだな…無意識だった」
「怜で構いません」
「そう。じゃあ、怜」
名前で呼べば怜は嬉しそうに笑った。
「怜ちゃーん、朱希ちゃーん」
浴衣を着て手を振り渚に怜が駆け寄る。
「渚君。遙先輩は…?」
「大丈夫だよ!!ほら、朱希ちゃんも早く」
「はいはい」
食べ終わった林檎飴のゴミを捨てて、新しくもう1本買う。
「また林檎飴!?」
「あぁ…なんか、好き」
「ちょっと意外です…」
「そう?」
長い階段を登れば遙さんと真琴さんがいた。
「お前らと泳いで思い出したんだ。ひとつのコースを繋いで泳ぐこと、ゴールした場所にみんながいること。そのことが嬉しかった、俺も!!」
「ハル!!」
遙さんの言葉に真琴さんが嬉しそうに彼の名を呼んだ。
俺の前にいる渚と怜も嬉しそうだった。
「ハルちゃん、今の言葉本当!!?」
「2人共いつの間に…て、朱希も!!」
「答えはもう出ています、遙先輩」
林檎飴を齧って彼らを眺めた。
「渚、怜、真琴。俺もリレーに出たい。お前たちと泳ぎたい、もう一度」
「「「うんっ」」」
嬉しそうな彼らから視線を逸らして祭りの明かりを見つめる。
「朱希」
「…なんすか?」
「ありがとう」
遙さんの言葉に俺は首を傾げる。
「何で俺にありがとうなんすか?」
「いいから、ありがとう」
「…そうっすか…けど、そのありがとうは受け取れません」
今度は遙さんが首を傾げた。
全ての元凶はきっと俺にある。
真っ赤な林檎飴を齧って俺は目を伏せた。
「じゃあ、明日から全国目指して猛特訓だね」
「燃えてきました」
帰る前に行きたいところがあると遙さんは金魚すくいの屋台に向かった。
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