次の日の教室で俺を囲む真琴さんたち。
そして、話しを聞いたのか松岡もいる。
「朱希君彼女ってどういう事!!?」
「いや、彼女じゃなくて…」
「すごい美人さんだったよね!!」
好き勝手に言い始める彼らに溜息をついた。
「て、話し進まねぇだろ…昨日の人、松岡は会ってねぇけど…あの人は俺の母親」
「は?いや、あれ20代前半だったよね!!?」
「確かに今23歳だよ」
「朱希ちゃん何歳の時の子供なの…」
あー…めんどくさい…
俺は溜息をついてから彼らを黙らせる。
「一から説明するから黙ってくれ」
「わ、わかりました…」
「あの人は御影アンナ。俺の2人目の母親。俺を生んだ人はとっくの昔に亡くなってる」
驚いている彼らを見ながら言葉を続ける。
「凛にも話してないから内緒で宜しく。
俺が生まれたときには父親がいなくて母親に育てられてきたんだ。幼稚園に上がる前に母親がオーストラリアに転勤になってオーストラリアで育った。
小4くらいの頃に母親が再婚して今の父親できた。昨日の電話は父親からだよ」
「あれ、じゃあアンナさんは…?」
「小4の頃母親が亡くなったんだ。それで中1の時にアンナさんと再婚した。だからアンナさんは俺の義母。父親も血は繋がってないから義父だよ」
目を瞬かせる彼らに苦笑する。
「血は繋がってないけど2人は俺を大事にしてくれるし…日本に住みたいって言う我儘も聞いてくれた。2人はまだオーストラリアに住んでるよ」
「…朱希君の人生ってなんか壮絶…」
「そう?俺を生んだ母さんも今の両親も俺を愛してくれてるし…アンナさんがいなければ俺はもう1度水泳を始めようともしてないよ」
懐かしむように言えば真琴さんが俺の名前を呼んだ。
「それ、どういうこと?」
「んー…それを話すには怪我のことも話さないといけないんすよねー…」
「そっか…」
「ごめんなさい」
あれ、と真琴さんが首を傾げる。
「2人はどうして岩鳶に?」
「あぁ…なんか日本に用があったらしくて…それのついでに県大に出た俺をからかいに来たらしいっす。それから墓参りっすねーきっと」
「墓参り?」
「はい。俺の兄さんの」
遙さんが目を丸くした。
「いいのか…言って…」
遙さんの言葉に困ったように笑った。
▽
昼休み、教室で雑誌をめくっていた俺は手を止める。
『見つからない天才スイマー』
そんな見出しを見て俺は慌てて文章に目を通す。
去年の夏ごろ突然水泳大会に現れた少年はフリーの1500mで世界新記録を叩きだした。
だが、彼の情報は1つも出てこなかった。
唯一分かっているのは現在高校1年生で背中に大きな傷があるということだけだ。
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