「忘れてた。アンナさんいつまでこっちにいれるんですか?」
『うーん…そんなに長くは…』
「わかりました。じゃあ…予約入れておくので日付決まったら知らせます」
『うん、わかった。じゃあ頑張って』

電話を切って溜息をつく。

「定期健診か…」

小さく呟いたときにバンッと音を立ててドアが開いた。

「松岡?」
「あ、朱希君!!?ごめんなさい、誰もいないと思ってて」
「あぁ、いいよ。着替えてるわけじゃねぇし」

携帯を鞄に戻そうと松岡に背中を向けると松岡が息を飲んだのが分かった。

「どーした?」
「…間近で見たの初めてだったから…」

携帯をしまって苦笑する。

「見てて楽しいもんじゃねぇだろ」
「…そう、だけど…」

後ろを見ればじっと俺の背中を見つめる松岡。

「触ると痛いの?」
「別に痛くねェよ。触りてぇならどうぞ」

そう言って笑えば恐る恐る背中に触れた松岡。

「最近、朱希君が私にいろいろ話してくれるようになったね」
「は?」
「嫌われてるんだと思ってた」

どこか困ったように笑った松岡に凛の姿が重なる。

「俺結構松岡と話してたろ?メニューについてとか」
「そうだけど!!朱希君自身のこと、あんまり聞いたことなかったし…お兄ちゃんのことも話してくれなかったし」
「そうだっけ?まぁ、俺は別に松岡のこと嫌いじゃねぇよ?」

ポンポンと頭を撫でて俺は笑う。

「さっさと練習戻るぞ。俺もフォームの確認してェし」
「うん」
「あ、そうだ…」
「なに?」

首を傾げた松岡に俺は笑う。

「サンキュ」
「え?」
「いろいろ、助かった」

水着の上を着て部室を出た。

「朱希君!!」
「んー?」
「筋肉触ってもいい!?」
「それはダメ」

えーっと頬を膨らます彼女の頭をもう一度撫でる。

「さーて、練習練習」


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