「凛がさ、俺のこと好きなのは…知ってるよ。オーストラリアで告白されたし」
「え、そうなの!!?」
「けど、返事をする前に俺は…アイツの前から姿を消した」
両手を握りしめて口を開く。
「…俺、は」
「朱希君?」
「松岡と会ったあの空港でのこと…覚えてるか?」
「え、うん。お兄ちゃんと朱希君が一緒に帰ってきて。朱希君をお兄さんが迎えに来て…」
握りしめていた手で胸のあたりのシャツを握りしめる。
「あの、日…松岡たちと別れた後に…俺と兄さんが乗ったタクシーが…事故にあった」
「え?」
「背中の傷も…その時に出来た。凛の前から…消えたのも、その事故がきっかけだ」
震えてきた手を無視して、口を閉ざすことなく言葉を続ける。
「事故のこと詳しくはまだ話せないけど…俺は、事故が原因で泳ぐことは愚か歩くことさえできなかった…」
「それで、お兄ちゃんの前から…」
「あぁ…全部、凛には話した。何も言わずに消えた俺を…アイツは責めることさえしないで…泣きながら謝ったんだ。酷いこと言ったって…泣きながら謝ったんだ」
驚いている松岡に俺は小さく息を吐く。
「俺は、アイツを傷つけすぎたんだ」
「朱希君…」
「俺に、凛の隣にいる資格はない…」
未だに嘘を吐き続ける俺が、アイツの傍にいるわけにはいかない。
「松岡こんなこと話しても意味ねェかもしれねぇけど…」
「ダメだよ、朱希君」
「え?」
「それはダメ」
真剣な瞳が俺を映す。
「そんなの…お兄ちゃんは望んでない。どれだけ傷つけられたって朱希君がいたらお兄ちゃんは笑ってくれる。お兄ちゃんは朱希君といたいって思ってる!!」
「そんなの、俺は許せるわけねぇだろ…散々傷つけて今更お前が好きだって言うのか!?そんなの…無理に決まってんだろ…」
微かに震える手を見ながら唇を噛んだ。
「凛をどう思ってるか…だっけ?好きだよ。俺は…凛が好きだ。だからこそ…もう、傷つけたくねぇんだよ」
「朱希君…」
「俺が…凛の笑顔を奪ったんだ。俺が、凛と遙さんたちの関係を壊したんだ。俺が…目を背けたから…」
止めていた足を動かして歩き出す。
少し後ろを松岡が歩く。
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