乗っ取り

昼過ぎ、みんなでひと休みするなか、大佐がなまえに話しかけた

「なまえ、今日の夜はどうかな?」


いつものやり取りのパターンだ。俺達は特に気にせずそのまま作業を続ける。


「今日ですか...」

ここから、なまえがみんなを誘う。


「いいですよ」

いつものパターン


.....??

俺達も...なぜか大佐も...かなり間抜けな顔だが、なまえは気づいてない。


「仕事が早く終わればぜひ」

顔を上げたなまえが笑顔で返し、

手元にあるティーカップを気にする人は無かった。






仕事が終わる時間が迫ってくる。

「さて、なまえ。今日は...」
「大佐!!列車の乗っ取りだそうです...犯行声明がきています!」


「.....なんだと」


大佐の周囲の温度が下がったのはきっと気のせいではないはずだ。

なんて運に恵まれない人だ

思わず周りから生暖かい視線が大佐に送られている

「じゃあ...俺らは対策本部に行ってきマース。」


こうなれば、触らぬ神に祟りなし...そそくさと部屋を抜け出した。





「なまえ...わかってたな...」

思わず恨みのこもった声を出すが、なまえは「何のことですか?」と笑顔で返してくる


「私も伝令のお手伝いに行きますね」

大会議室が対策本部になってるそうですよ、まずはこれをどうぞ、そう言って資料を中尉に渡す。

今の状況なら、確かに駄々こねて素直に受け取らなかっただろう...なまえの判断は正しい。

気持ちを切り替えて _もとい、駄々をこねるのを諦めて_ 対策本部に向けて歩き出す私に少尉となまえが付き添う。


「乗っ取られたのは、ニューオプティン発、特急〇四八四〇便。東部過激派『青の団』による犯行です。」
「声明は?」

「...気合い入ったのが来てますが」

読みましょうか?そう言葉を区切るなまえに首を降った。

読まないということは、たいした内容でもなく、


「どうせ我々_軍部_の悪口に決まっている」
「ごもっとも」

これは早く帰れそうにないな、諦めも含めて本部の扉を開いた。



「要求は現在収監中の彼らの指導者を開放すること。」
「ありきたりだな。_それで、本当に将軍閣下は乗ってるのか?」

ファルマン准尉が「今確認中ですがおそらく、」と続けた。

「全く。困ったな...夕方からデートなんだが...」
「たまには俺達と、マズい茶で残業デートしましょうや。」
「野郎と飲んで何が楽しいんだ」

ブレダやハボックからの恨みがま強い視線なんて、へでもない。

一番の被害者は私だ


「ここはひとつ、将軍閣下には尊い被害者になって頂いて、さっさと事件を片付ける方向で...」
「縁起でもないですよ大佐。」
「バカ言わないで下さい、乗客名簿です」

フュリーから渡された名簿を、ハボックが覗きこみ、「あー本当に家族で乗ってますね、ハクロのおっさん。」と言葉を漏らす

「全く...こんな時にバカンスとは...。

ん?_ああ諸君、今日は思ったより早く帰れそうだ」

思わずあがる口角を抑えきれなかった。



「鋼の錬金術師が乗っている」


やった!そう声を漏らすハボックたちとは裏腹に、なまえは周りの喜びに理解出来ないんだろう、1人首を傾げていた。