乗っ取り
昼過ぎ、みんなでひと休みするなか、大佐がなまえに話しかけた
「なまえ、今日の夜はどうかな?」
いつものやり取りのパターンだ。俺達は特に気にせずそのまま作業を続ける。
「今日ですか...」
ここから、なまえがみんなを誘う。
「いいですよ」
いつものパターン
.....??
俺達も...なぜか大佐も...かなり間抜けな顔だが、なまえは気づいてない。
「仕事が早く終わればぜひ」
顔を上げたなまえが笑顔で返し、
手元にあるティーカップを気にする人は無かった。
※
仕事が終わる時間が迫ってくる。
「さて、なまえ。今日は...」
「大佐!!列車の乗っ取りだそうです...犯行声明がきています!」
「.....なんだと」
大佐の周囲の温度が下がったのはきっと気のせいではないはずだ。
なんて運に恵まれない人だ
思わず周りから生暖かい視線が大佐に送られている
「じゃあ...俺らは対策本部に行ってきマース。」
こうなれば、触らぬ神に祟りなし...そそくさと部屋を抜け出した。
「なまえ...わかってたな...」
思わず恨みのこもった声を出すが、なまえは「何のことですか?」と笑顔で返してくる
「私も伝令のお手伝いに行きますね」
大会議室が対策本部になってるそうですよ、まずはこれをどうぞ、そう言って資料を中尉に渡す。
今の状況なら、確かに駄々こねて素直に受け取らなかっただろう...なまえの判断は正しい。
気持ちを切り替えて _もとい、駄々をこねるのを諦めて_ 対策本部に向けて歩き出す私に少尉となまえが付き添う。
「乗っ取られたのは、ニューオプティン発、特急〇四八四〇便。東部過激派『青の団』による犯行です。」
「声明は?」
「...気合い入ったのが来てますが」
読みましょうか?そう言葉を区切るなまえに首を降った。
読まないということは、たいした内容でもなく、
「どうせ我々_軍部_の悪口に決まっている」
「ごもっとも」
これは早く帰れそうにないな、諦めも含めて本部の扉を開いた。
「要求は現在収監中の彼らの指導者を開放すること。」
「ありきたりだな。_それで、本当に将軍閣下は乗ってるのか?」
ファルマン准尉が「今確認中ですがおそらく、」と続けた。
「全く。困ったな...夕方からデートなんだが...」
「たまには俺達と、マズい茶で残業デートしましょうや。」
「野郎と飲んで何が楽しいんだ」
ブレダやハボックからの恨みがま強い視線なんて、へでもない。
一番の被害者は私だ
「ここはひとつ、将軍閣下には尊い被害者になって頂いて、さっさと事件を片付ける方向で...」
「縁起でもないですよ大佐。」
「バカ言わないで下さい、乗客名簿です」
フュリーから渡された名簿を、ハボックが覗きこみ、「あー本当に家族で乗ってますね、ハクロのおっさん。」と言葉を漏らす
「全く...こんな時にバカンスとは...。
ん?_ああ諸君、今日は思ったより早く帰れそうだ」
思わずあがる口角を抑えきれなかった。
「鋼の錬金術師が乗っている」
やった!そう声を漏らすハボックたちとは裏腹に、なまえは周りの喜びに理解出来ないんだろう、1人首を傾げていた。