賢者の石
「あ、ちょっといいですか」
タッカーさんの話になり、さて移動しようかとした彼らを呼び止める
「はじめまして、私はなまえ・ブラックです。エドワードくん、いま""あなたの""報告書を書いてます」
しまった、という顔で固まるエドワードくん
「レト神、元中尉レキ、そして今回の青の団の事件について関わってらっしゃるようですね...。報告書が埋まらなくてこまってますので、あなたが知る詳細を教えてください。」
「嫌になるぜ!ニセモノに振り回されて。」
これまでの経過を愚痴るように話すエドワード君、そしてその報告を聞く大佐。二人の話を聞くようにして、詳細を頭でまとめていく。
入ってきた情報を頭の中で繋げていくことは、もう癖とも言える。昔から、少しでも知識を手に入れるために繰り返してきた結果。
赤い色
賢者の石
ニセモノ、暴走
グルグルと頭の中でどこか記憶にある言葉たちをかき回すなまえは、タッカー氏のもとへエドワードたちを連れていくロイに返事を返すと、部屋から出ていく彼らを背に彼らが飲んだカップを片付け始める。
ロイは、出かける前一瞬そんな彼女を見るが、なまえもエドたちも気づいていなかった。
※
夕暮れ迫り、軍に帰ってきてからもいつも通り仕事を続ける。
いつもと同じようで、"なにか"を怖がっているような、複雑な様子がわかるなまえ。
「どうかしたのか」
声をかけると、なまえはためらうように視線をさまよわせ、そして覚悟したように目を閉じて息をつく。
「わたし、以前に"錬金術は存在していた"って話をしましたよね?」
「ああ。覚えている。」
「錬金術なんて習うことないのに、彼を、わたしが覚えていたのは理由があります。私の主人が、彼を探していました。正確には...彼、ニコラス・フラメルの持つ、賢者の石を。」
「ニコラス・フラメル...!?いや、彼は既に亡くなっているはず。」
「やはり、彼は元はここに存在していたんですね...。彼は何かしらの方法でそれを作り、世界を渡った。彼ならば世界を渡る方法を知っている...」
「ニコラス・フラメルについてはわかった。疑問はいくつかあるが...その前に、キミが、いま一番恐れているのはなんだ?」
「わたしは.....私は闇に紛れて生きてきました。何がなんでも生きるために...人の死体を踏みつけて。」
なまえの目の暗さは、ロイ自身も見覚えがあった。
"戦争"を、"死"を知る目だ。
「それから抜け出した今、もしかしたらまたあの環境に戻るかもしれない、その、あるかわからない可能性が、こんなにも怖いなんて思いませんでした。」
狼狽える彼女を抱き寄せる。一瞬抵抗するようにロイの胸を押し返すが、やがて諦めたように手を下ろした。
「認めたくなかったんです、結局自分のためだけに人を殺してきたんだって。
私には何重の罰が下るかしら
「なまえ、罪なら背負ってでも歩け。キミはいま一人で歩いていないはずだ。」