思考

「なんだねその顔は...。まだ何もしてないさ」

そのまま気を失うように眠った彼女を、中尉の家に連れていくと中尉からはものすごく怪しげな顔をされ、思わず反論する。


「なるほど、"いま"は。」

どうぞ、としぶしぶ入れてくれる彼女の言葉から、自分の発言にしまった、と気づくが顔に出さず彼女を部屋のベッドに寝かせた。





「死の恐怖は誰にでもあるが、彼女はそれも覚悟していると言っていた。にも関わらず、あの怯え方は普通じゃない...。

なまえは、"御主人様"と口にした。そう呼ばなければならない存在だった。
つまりだ、彼女は死そのものというよりも、"絶対的な存在"として認識している"主人"が怖いんだろう。」

「逆らうことが出来ないよう、植え付けられていた...つまりそういう事ですね。ですが、ニコラス・フラメルが"世界を渡る方法"を知っているのだとしたたら、なまえはなんらかの繋がりを、かの錬金術と持っていた...?ということでしょうか」


腕を組みその可能性を考えるが、首を振り否定する。

「いや、もし繋がりがあったならば、そう言うだろう。本人と会ったことがある感じではなかった」




なまえは、扉に寄りかかり、向こうから聞こえてくるロイ達の声を聞いた。

(そっか。私はご主人様を裏切ってしまった恐怖に怯えていたのか。)

唯一の至高であり、私自身の意思も彼の決定が下すのだと教えられてきた。ご主人様のため以外に考える必要は無いという刷り込みがあったのか。

(私の根底からご主人様を消すことは出来ないと思って、ダンブルドアは異世界ここに飛ばしたのかしら。)

いや…違う、


『お手伝いありがとう。』


あの日話したのは…


『次はお嬢ちゃんのお手伝いしてあげるわ。』