傷の男

合成獣_キメラ_と言っていたか...エルリック兄弟がいまかかりっきりになっている錬金術師の専門分野は。
ケンタウルスたちが聞けば、自然の理に逆らうと激怒しそうなその分野から、彼らは何を作ろうとしてるのだろうか。

人と同じIQ?例えば言葉を理解し話すこととか?
それとも別のなにか?

錬金術師は不思議な人たちで、自分の専門分野とするものへの熱量は凄まじい。_エルリック兄弟をみればまさに、だけれども_
もしかしたらその研究には意味はないのかもしれないし、人知を超える世界に踏み出そうとしてるのかもしれないけど、私にはわからない。

私は魔女で、等価交換の原則に従わない。彼らとは根本的に違う。



暗くなりだした空を見ながらなまえは、通りすがりの軍人へ『エルリック兄弟を探せ!』と無線を通しての命令が聞こえた。

『国家錬金術師の連続殺人犯が彷徨いている。早く保護せよ』






「全く、アイツら戦い方がえげつねェ…普通の人間じゃ相手にならねえって」

稲妻のような_大佐から教えてもらった。あれは錬成によるものだと言うことだけど。_光が走り、道や建物が変化する。

「これが錬金術...凄いですね」

思わず声に出すけど、

「いや、アイツらが規格外なのもあるから。」


呆れたように息をつくヒューズ中佐に思わず笑った。




エルリック兄弟を探しに歩くと、バタバタと車で同じ方向に向かい出す軍服姿の男性たちを追いかけ、来た時には派手な戦闘が始まりっていた。

自分も入るべきか悩み、ホルスターに挟んだ杖に手を伸ばしたけど、魔法は使いたくないという思いとの狭間に呆然と立ち尽くす時、ヒューズ中佐に引っ張られた。


『いいかお嬢さん。ああいうのは、派手好きなヤローどもに任せてりゃあいいんだよ』
『...中佐は?』
『あんな怪物みてえな戦いに入るなんてバカバカ!見物でいいんだよ!俺みたいな頭脳派は、その先の戦いを計算すんの。』






人には、役割がある。
そうか、私は何をすべきか考えよう。

地下に逃げるためにスカーがあけた穴を見ていると、隣に陰ができた。

「君は今日は休みだったと思っていたが?」
「はい、有意義な時間でした」

笑う私に、大佐が一瞬驚いた顔をして笑う。

「吹っ切れたみたいで良かったよ。」