そして、血は流れる
エドワード君が機械鎧の整備のため一旦帰省するとなった時、彼のお見送りに行った、私とヒューズ中佐。大佐はなまえは行かなくていい、とうるさかったけど全て中尉にお任せしてきた。
大佐からの憎まれ口を中佐から聞いたあと、エドワード君は私をじっと見た。
「聞きたいことがある?」
「なまえさん...は、賢者の石の作り方、知ってるのか?」
「いいえ。」
「少しもか?何か聞いたことは?」
「何も。分かることはね、エドワード君。どこの世界でも血にまみれても、それを手に入れようとする奴らがいるってことだけよ。」
「俺らも...その中の人間だよな」
「そう。君はその戦いの中にいるのよ。...石が血にまみれてるのか、血にまみれた人間が石を持つのか、あなたが探して。」
※
「キミは、すぐそこの未来は占うが、長期的なものは見ようとしないな。」
ある日の会議のあと、ふと切り出す大佐に目を丸くした。
「...大佐は気になりますか?」
「いや...占ってもらったとしても、進むのは自分だからね。振り回されたりはないな。」
「はい。私もそう思います。占いは心算で、それ以上の期待はしません。」
そうか、大佐は深く腰掛けていた椅子から腰を上げ執務室に向け歩き出す。
「君は鋼のが追いかけてるソレは、血にまみれたものか、人が血にまみれてるのかどちらと思うかね?」
「どうしてそれを...もう。中佐ですね」
「私の情報源は豊富だからね。それで?」
「錬金術は1のものから1を作り出す、ですよね?...つまり、力のない人が1から10のものを作り出すことが出来るアレは、それだけのエネルギーがあるということ。」
「ほお。つまり、そのエネルギーに何らかの背景があるということか。」
「はい。そういう事です。多分...まともな作られ方では無いでしょうね」
私も、彼らも。ここにいる誰もだけど血濡れた道を歩いてきたし、これからしばらくそうだろう。
廊下の窓から、赤く染まってきた夕焼けが差す。
「大佐...あちらの方角はどこになりますか?」
「え?あぁ、ここから見る方角だと、セントラルの方だな」
「セントラル...ポリジュース薬(他人に変身する薬)じゃない..どうやって。血塗れの軍人?場所は、ポートキー?いや違う、あれは何だったかしら。大佐、なにか、」
大佐が執務室のドアを開けた時、そう言いかけた。だが、ドアを開けてすぐ電話が鳴り、私を伺う大佐に出てもらうよう促す。
受話器をとると彼は嫌そうに顔をしかめるが、理由はすぐ分かった。
「またヒューズか。繋げ。...私だ。娘自慢なら聞かんぞ!」
しかし、受話器からいつもならテンション高くもれ聞こえてくる彼の声も聞こえない。
「?...ヒューズ、ヒューズ...。」
「ヒューズ!おい、ヒューズ!!」
「大佐?」
「繋がらん。様子がおかしい」
呼びかけても繋がらない電話に苛立ちをみせる大佐。
「でんわ、そうだ、あれは家の外からつなげる電話だわ。」
「なまえ?」
「血塗れの軍人、誰かまでは、分からないけど...
外の電話で倒れてる。場所は……セントラル。」