戦友の墓

「殉職で二階級特進...ヒューズ准将か。私の下について助力すると言っていた奴が私より上に行ってどうするんだ。」

ヒューズさんのお墓の前で、誰にいうわけでもなく...もしかしたらヒューズさんに...ポツリと口にする大佐。

「なまえ、大佐。風が出て冷えてきましたよ、」

まだお戻りにならないのですか、そう言ってご家族への対応を終えたリザさんが戻ってくる。

「あぁ...。錬金術というものは全く嫌な生き物だな中尉。頭の中で人体錬成の理論を必死になって組み立ててる自分がいるんだよ。」

大佐は、あの子らが母親を錬成しようとした気持ちが今なら、と続ける。

「大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。いかん...雨が降ってきたな。」

雨だ、そう言い聞かせる大佐に、私もリザさんも口を噤む。

「戻りましょう、ここは冷えますよ、」

大佐の腕に手を添えると、彼は私の手をぐっと引き握りしめる。


「(約立たずのまま、今も昔も。いろんな人の死に目を背けたあの時と今何が違うの。)」

自分の役割を見つけろ、そう言って強く笑ったヒューズさんの顔が浮かぶ。



あの後、すぐに交換にかけ直し、セントラルの兵へ軍部の公衆電話にいるはず、急用だからとヒューズ中佐を探させた。

そして、彼の遺体は発見された。

「なまえ、君が見えたのはこの景色だったか?」
「ハッキリとは...でもあの日見えたのは、血濡れた軍服を着た倒れた人と、明らかに人では無い何かが……」
「よく思い出せ、相手はどんな顔だったか」
「分からないんです。顔が変わって、髪型も。まるで、その人に擬態するみたいに。」

ふむ、考えるように大佐は頭を抑える。

「複数の相手...組織か。大佐の私でも言えないとなっては、それ以上の地位の者が口止めしている。...軍上層部絡みか。そして、賢者の石」
「何がなんだか...」
「なまえ、君の見たものからすると、相手は一般人とも行かなさそうだ。」


「上が何をしてるか恐ろしいな。...上層部に喰らいつくぞ、ついてくるか?」
「何を今更。」
「もちろんです。」

行こう、そう歩き出す大佐の手を引く。

「大佐は、私の言葉を信じるんですか」
「...中尉、先に行っててくれ」

リザさんが、大佐の言葉を受け立ち去る

「なまえ、君の力が信じがたいものであることは事実だが、それ以上に君の力に助けられたのも事実だ。」
「助けられた?私、誰も...」
「あれほど早く、ヒューズが見つかった。これほど遠く離れた土地で、すぐに指示できたのは君のことを信じていたからだ。」
「私、占いは得意でも曖昧だし、何が起きてるのか見渡せても千里眼を持つダンブルドアには叶わない、結局、中途半端しか...」
「なまえ、この世界に千里眼なんてものを持つ人間はいない。自分を卑下する必要があるのか?」
「...私、助けたかったです。なんのためにある力なのかわからない。結局無力だわ。」

大佐が私を抱きしめる。いつもなら突き放すそれを享受したのは、私も、そして彼も震えていたからだった。

「それは、私も同じだよ。だから、なまえ。これからも私と同じ景色で、私を見張っていてくれ。ちゃんと立てているか。」
「.......はい。」