『サイタマさんすみません、寝てました』
送られてきたメールを確認して俺はポケットにケータイをしまった。
進化の家を潰しにいくのにZ市から目的の場所まではかなりの距離があったから車を持っている名前に近くまで乗せてってもらえないかという内容のメールを送ったのが4時間前。それでも名前はねこけていたようで(何時もならあんな音出したら俺の部屋に来るはずなのに)メールに気付いたのはついさっきのようだ。急に頼んだのは俺なんだから謝らなくてもいいことをあいつは分かっているだろうか。
ピロンと電子音が鳴った。またケータイを取り出してメールを見る。小さな液晶が名前を表示する。名前からだった。
『今日のご飯はうどんです』
「こりゃあダッシュでいくしかねぇな」
今思い出したと言わんばかりの文章に小さく笑った。
「どうかしたんですか、先生」
「いや別に、飯のこと。さっさと帰るぞジェノス」
お前の体も直さなきゃいけねーし、と言えばジェノスはそうですねと頷いた。
それにしても、ジェノスは誰かに似ている気がした。
いや、そんなことはどうでもいいか。さっさと帰ってうどんにありつくため、俺たちは燃え尽きて廃墟と化した進化の家を後にした。中にはまだ博士らしき人がいたが、知ったことではない。俺の土曜日を潰した恨みは簡単に晴らせるものでは無い。
「先生、メールの相手とは一体誰だったんです?」
道中そんなことをジェノスが聞いてきた。アフロヘア―に目玉が吹き飛んでいる姿は中々ホラーだ。というか先生っていうな。
「名前、隣に住んでる奴」
ジェノスの片方の目が僅かに見開かれたことに、ついぞ気付く事は無かった。