Last World - 2 (1/2)
翌日のこと。
「……麗、」
ふと聴こえたそんな声に、私がそっと目を開けると、目に入ったのは金色の長い髪だった。
「……乱菊さん、」
私が掠れた声で名前を呼ぶと、十番隊副隊長の松本乱菊は僅かに表情を緩めた。
冷たい床に直に転がしていた上半身を起して、柵越しに差し込む陽気に目を細める。
「元気……な訳ないか。」
「元気です、私は。」
軽く指を組んで、私は小さく笑った。
乱菊は腰を下ろしたままの麗に視線を合わせるように、膝を折る。
「……一護がさ、心配してたわよ。あんたのこと。」
「そう、ですか。」
『一護』
その名を聴くと、不思議なくらい心が穏やかになる。
「……ねえ、」
「はい、」
「どうして、あんなことに手貸したの?」
どうして、
そう紡ぐ唇の動きが、まるでスローモーションのように麗の瞳に映し出される。
麗はふと口の端を持ち上げて、答えた。
「死にたいからです。」
「……え、」
「死にたいからですよ、」
表情とは裏腹に、その声は麗自身も驚くくらい冷めていた。