君が好きなのはピンクとか暖色のアイシャドウが似合う子。

私は無難な寒色のアイシャドウ


でも君は大人っぽくて素敵だね、笑うんだ。





「は?」
「だから…浮気されてたみたい。昨日、駅前に買い出しに行ってた壇くんが見たらしいんだー……」

悲しげにそういって突っ伏してしまった彼。浮かんだのは、前日の明るいメイクが施された彼女。



◇ ◇ ◇



出掛けようかとメイクの準備をしていたとき、キヨが来た。いつもみたいにへらっと笑って、でもいつもと違う雰囲気で、上がってもいい?と聞いてきた彼は私の部屋についてすぐ浮気された、と呟いた。

「俺、ちゃらいって自覚あるけど浮気許せるほど寛大じゃないよ?」
「キヨ…」
「でもいつも、いつもこうなっちゃうんだ……今度こそって思っても毎回……。どうしたらいいんだろう」

こんな弱ったキヨ、ずっと見ていたくない。いつものへらへら笑って、テニスと女の子のことで楽しそうにする彼が好きなんだから。
私が知ってることを話してしまえば……だからそんなこといえなくて。
私は嘘を、ついた。

「ね、キヨ」
「ん?」
「それ、本当に彼女さんなのかな?」
「でも壇くんが…」
「壇くん、ちゃんと彼女さん見たこと無いんでしょ?壇くんのこと疑うわけじゃないけどさ、そこは彼女信じてあげなよ」
「…そう、かな」
「うん」
「そう、だよね!うん!やっぱ名前が幼なじみで良かった!ありがとう」

そういって彼は家へと帰っていった。一時だけでもいい、彼が元気になれたなら。
そう思っても、幼なじみという言葉がまた深く胸を抉った。




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