目の前に夕日より綺麗なオレンジと心配そうに下がった眉。

「え」
「あっいきなりごめんね。でも君泣きそうだったから…大丈夫?」
「あ、はい、大丈夫です、すいません。ご迷惑おかけして」

そういってぺこり、と頭を下げるとうーん、という相手の声が聞こえてきた。

「一応、ナンパしてるんだけどなー」

え、と再び顔を上げれば困ったように頬をかくオレンジ頭。
そんなナンパあり?と思うとなんだかおかしくなって笑えてきた。

「いいですよ、どっかいきます?」



◇ ◇ ◇



「その子ね、壇くんっていうんだけど、驚いたときとか『だだだだーん』っていうの」
「自分の名前、連呼…?」
「そう!しかもなついてるのがすごい不良」
「あ、さっきいってたテニス強いって人?」
「うん。変わった組み合わせだけど仲いいんだー」

へー、と手元のアイスティーを回しながら答えた。
私が笑いながらどこかにいこうといったとき、一瞬驚いたようになった彼はすぐこんな可愛い子が遊んでくれるなんてラッキー!とわたしの手掴んで歩きだした。
久しぶりに誰かの体温が手から伝わってくる感覚にこそばゆくなりながらもその手を握り返した。
繋がれた手のまま私と彼はウィンドウショッピング。
同い年だから敬語はなし!らしい。
オレンジの髪とそれに対なす緑のラインが入った白ランの彼の名前は千石清純くん。
背負った大きなテニスバッグは綺麗ながらも使い込まれていて、彼はそれなりに強いよ、と自分で言っていた。
しばらくふらふらしてから、喫茶店に入った私たちは他愛のない話をして、じゃあまた、と別れた。




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