ネロの気遣いはなぜ細やかか
2023/06/02
ネロという男を好む人は多い。
それはきっとあちらの世界でもこちらの世界でも同じ。
料理がとびきりうまいから。というのも大きな要素かもしれないけれど、1番はやはりその居心地の良さからだろうと思う。
彼を一言で表すとしたら。
私なら、「気遣い屋」とする。
俺は飯屋だというのが彼の言い分だろうが、それはそれ。
彼は飯屋の前に気遣い屋のネロだと思う。
公式で彼につけられている一言は「諦念」だった。
こういう言い方は世の気遣い屋さんに少し申し訳なくもあるけれど、気遣いというのは時に自分を諦めることから生まれることがあると思っている。
人が過ごしやすいように、人が心地良いように。
そうして振る舞う自分が自分にとっても心地良いとは限らない。
自分もほしいけれど誰かがほしそうにしているから。
無意識かもしれないけれど、実は自分が貰うことを諦めている。
自分はこれがいいけれど誰かはこれがいいみたいだ。
実は知らないところで自分は放置されている。
無意識か意識的かはわからないけれど、そうやって自分を諦めているのかもしれない。
ネロの気遣いは少し不思議だ。
相手によっては気づかれないくらいに細かい。
お返しをしなくてはと思わせるほど大きくはないけど
申し訳ないからと拒む必要があるような隙もない。
なんでかなぁ…と考えたら、ふと悲しいことを思いついてしまった。
私はネロの幼少期がどんなものか知らない。
ろくでもない家族がいた、育ちが悪いと聞いた程度で、どんなろくでもない家族だったのか、どんな悪い環境だったのかはわからない。
けど、隙をつかれず隙をつくことで生き延びてきたのだとしたら。
人間どころか、魔法使いですら生きていくのが厳しい北の国の、ろくでもない、悪い環境。
そこで子供が生きるためにするとしたら…
できるとしたら…
違う作品だけれど、NARUTOの弥彦・小南・長門を思い出した。
戦争の地に生きた孤児の3人は、食料を盗んで食い繋いでいた。
もし、幼いネロが。
生きていくために、綺麗とはいえないことをしていたとしたら。
ブラッドリーに拾われる前までひとりきりだっただろう彼が、ひとりで食いつなぐとしたら。
幼い彼が身につけた、身につけてしまったのは、もしかしたら。
人の顔色と雰囲気から多くのものを悟ること だったりするのかもしれない。
そのスキルが発揮されてあの隙がなく細かい気遣いとなっているとしたら…
なんて、寂しく悲しい想像だけれど…
以前、ヒースがネロと自分は似ているという話をした時。
正直、直感的には違和感があった。
似ていなくないか?と。
私の感覚はおそらくネロに近い。
だからかもしれない。
真っ先に思った。
だって、ヒースは綺麗だよ。と。
ネロの過去をよく知りもしないし、ヒースの過去をよく知りもしないのに。そう感じた。
実際、ヒースとネロを比べたら間違いなくふたりは真逆のところにいると思う。
少なくとも東の国の中では。
ヒース→ファウスト→シノ→ネロ
入れ替わるにしても、真ん中のふたりだろう。
生まれも環境も経歴も、どう考えてもすれ違わないふたりだ。
けれど、ネロの気遣いの由来が私が考えたようなものだとしたら。
大貴族のご子息さまで、優しい両親と共にすごしながらも常に周りを気にかけて意識して生活していた、生活しなければいけなかったヒースも、ネロと同じように気遣いの子となったのかもしれない。
そう思うとふたりの気遣いがまとう残り香が似ているのも頷ける気がする。