泥沼に沈んでいた意識を強制的に浮上させられ引き摺られるように部屋を出された女はパーティー会場の広間のど真ん中に男、チャルロスに首輪のリードを引かれて立っていた。
「お集まり頂き感謝するえ。これがわちしの奴隷のシェヘラザードだえ。」
ボロ布の様な服を着せられた惨めな女奴隷に視線が集中する。
沢山の見知らぬ男達から向けられる好奇の目は女にいつか受けた客人へのもてなしという名の恐ろしい拷問の記憶を呼び起こさせる。
小さく震える女の肩に主人は気付かず楽しそうにスピーチをする。
きょろきょろと眼を動かし周りを取り囲む男達を見るといつかのあの場所にいた男達も混ざっていた。
今日こそ死んでしまうかもしれない。女の頭の中をぐるぐると回りだす考え。
「まずは余興だえ! さぁいつものを読むえ!」
気分良く声を上げる主人の機嫌を損ねないよう女は震える唇を開いた。
「む、むかしむかしの…ぉ、お話です」
女が話し始めるとはじめはざわざわと煩かった会場だったが物語に聞き入る者たちがお喋りをする者を咎め、また咎められた者達も次第に女の紡ぐ物語に聞き惚れていった。
「ーというお話だったのです。」
女が一つの話を読み終わる頃には船を漕ぐ者もいた。
水を打ったような会場、その静寂を切り裂いたのは一人の大男の拍手だった。
「フッフッフ…いい話だったよ、シェヘラザード。」
周りの男達よりもずっと豪華なソファに座ったピンクの鳥の羽のようなコートを着た大男はその大きな手を打って不敵に笑う。
周りの男達とは違う、ヘルメットもしていなければ服装も大きく違うその男の目元はサングラスで隠され真意を読み取ることは出来ない。
「お褒めに預かり光栄だえ、王様。」
王様、その言葉に思わず女は今一度目の前の大きなソファに座る大男を見つめた。
大男は不敵に笑ったまま拍手を続けた。
しばらくそうしていると大男の影からにょきりと普通の人間サイズの腕が伸びてきた。
そして次いで響いた静かだがどこか心地よい低い声。
「その女、俺に譲れ…チャルロス聖。」
その言葉と共に男の影から姿を表したのは細身の長身の男。
「い、いくら王子の頼みでも、そ、それはだめだえ」
予想外だったのか女の主人は吃りながらもそう言った。
混乱し話についていけず女はおどおどと主人と男を交互に見る。
「へぇ…じゃあお前がそいつを買った額の2倍…いや3倍出す。」
「こ、これは売ってないえ! わちしのモノだえ!」
「…そうか、残念だ。」
そう言うと何一つ残念そうな素振りなど見せずその長い足で一歩一歩、女に近付く。
女の目の前のまで近付いた男は女の顎を掬い上げると恐怖に揺れた瞳を見つめる。
潤んだ瞳はあと一度でも瞬きをしてしまえば溜まった涙が溢れてしまうだろう。
女の目尻を指先で拭うと男は落ち着いた声色で女に話しかける。
「シェヘラザードとか言ったか? どうだ、俺と来るか?」
突然の誘いに何と返事をしたら良いか分からず迷っていると女の主人は声を荒げた。
「シェヘラザード!!! お前の主人は誰だえ!!!!」
主人の怒鳴り声にハッとした女は目の前の男を見上げたまま行かない、そう言うつもりだった。
開いた口は男の大きな掌により塞がれ声は小さな呻きとなり消えた。
「チャルロス聖、これは俺の頼みじゃねぇ。俺からのあんたへの提案だ。」
そう言うと男は悪い笑みを浮かべて女の主人を一瞥し、続けて口を開く。
「こんなところでロズワード一家が突然の衰退だとかあれやこれやになりたくねぇだろ?」
どうだ? 男の提案にぐっと苦虫を噛み潰したような顔で一度女を見た主人は悔しそうに口を開く。
「ふん! そんな奴隷が欲しいのかえ! そんな役立たず欲しいなら売ってやるえ!!」
「フッ…懸命だな。金はすぐ用意する。5分待て。」
そう言うと男は女の顎を放しジーンズのポケットに手を突っ込むと顎で付いて来いと指示する。
新しい主人への恐怖に足が縺れそうになりながらついていくと突然歩みを止めた男は女に向き直り、細い首に付けられた重そうな首輪に手を掛けた。
鍵も使わずに簡単に外した男に驚いた女はぽかんとしたまま背を向けた男を見つめる。
早く来い、淡々とした口調でそう言った男に慌てて付いていく。
今この瞬間からこの男が主人なのだ、今度はどんな痛いことをされるのか、苦しいことをされるのか…
死にたくない、溢れ落ちそうな涙を拭って男のあとを追いかける。
広間の出入り口の扉から新しい主人と入れ替わるように何人もの黒服の男達がジュラルミンケースを持って部屋に入ってくる。
その男達の隣を抜けて新たな主人のあとをひたひたと追いかけると新しい主人は一度足を止め振り返った。
「…裸足…」
「はっ!! す、すみません! し、静かに歩きます…」
「そうじゃねぇ…」
溜め息を吐くと彼は女のそばまで大股で歩み寄ると何かされると思ったのかギュッと目を閉じ身を固くする女を気にもせず膝裏と背中に腕を回し強引に持ち上げた。
ひぃっ、小さく漏れた悲鳴を気にもせず革靴のヒールを響かせ歩く。
「あの…歩けます。」
「裸足で歩くな。冷えるだろ。」
「す、すみません…」
怯えて萎縮する女の顔をちらりと見やった男は睫毛を震わせ泣き出しそうな顔に何を考えているのかなんとなくだが想像がついた。
乱暴にされるとでも考えているのだろう、生憎男に女を痛めつけ楽しむ趣味はない。
だがなんと声をかけるべきか悩ましいのも事実、男は口を開きかけたがかける言葉が見つからず結局、何も言わずに口を噤んだ。
女を馬車に乗せると続けて女の向かいに座った男は御者に出せと声をかける。
御者はまだ王様が戻られておりませんが、と躊躇いがちに訴えると男は構わねぇ、早く出せと告げた。
動き出した馬車、初めて乗るが堪能できるほど女に余裕はない。
膝の上にちょこんと揃えて乗せられた小さな手はもじもじと動かされ顔は俯き視線はずっと下のまま。
足を組んで肘掛けに肘を乗せ頬杖をついた男はそんな情けない女の姿を見つめる。
「トラファルガー・ロー」
「…ぇ…」
突然のことに驚いたのか俯いていた顔を上げた女は数秒固まったあと直ぐにハッとして視線を少し下に落とす。
「俺はトラファルガー・ローだ。」
「ご、しゅじんさま…」
「違ぇ、トラファルガー・ローだ。」
「トラ、ファルガー様…」
軽く舌打ちをすると女はビクリと肩を震わせ小さい体を更に萎縮させ怯えた。
溜め息を吐き頭を掻いた男は腕を組んでもう一度口を開く。
「ロー、呼べ。」
「…ろ、ロー…さま。」
おずおずと見上げてそう言った女にズゴっと滑り落ちそうになったローは体制を立て直すともうそれでいいと言って視線を外の景色に移した。
辺りはすっかり日が暮れ辺りを照らす街灯が煌めいている。
屋敷に戻ったらこの女に何をしてやろうか、まずは風呂に入れないと、次にこのみすぼらしい服を脱がせて新しい服を与えねば、あと靴も。
そんなことを考えながらローは目の前で怯える女に声をかける。
「お前、名前は?」
「…ぇ……」
「あんだろ、名前ぐらい。」
「……………シェヘラザード…」
「違ぇ、ホントの名前だ。」
驚いたように目を丸くして目を瞬かせる女は恥ずかしそうに頬を赤くしてポツリと呟いた。
「………ミオ…です。」
もじもじと俯き居心地悪そうにしているミオにはローがどんな顔をしているかなんて見えない。
上がりそうになる口角をぐっと堪えたローは馬車がよく知る門を潜ったことに気付く。
「着いたぞ。」
ローの声に顔を上げたミオの顔はあっという間に不安に染まる。
躊躇う彼女を些か乱暴に抱き上げるとローは馬車を降り颯爽と大きな玄関扉に向かって歩き出す。
ローが玄関扉の前まで来るとまるで帰りを待っていたかのように扉が開く。
誰もいない玄関ホールはお伽噺に出てくる城のような豪華で絢爛な造りになっていた。
床には赤い絨毯が敷き詰められ、天井にはきらきらと輝くシャンデリア、以前飼われていた屋敷とは違う景色に目を瞬かせているミオを床へ降ろしたローは来い、と一言だけ告げ歩き出す。
あ、はい! 慌てて返事をして柔らかく暖かい絨毯に足を取られぬようにローの後を追いかける。
そして辿り着いた先は大きなお風呂場、湯船には赤い薔薇の花弁が浮いている。
初めての光景にすんっと鼻を鳴らしたミオは鼻腔に広がった良い香りに思わず両手を頬に当てた。
「とりあえずその小汚え服を脱げ。」
「ぁ、はっはぃ!」
弾かれたように服に手をかけるとミオはボロ布の様な短いワンピースを脱いだ。
下着を貰えなかったせいで身に着けていたのはこれだけだった。
露わになった彼女の身体、少しの恥じらいはあったが何よりも彼女はこの目の前の男の機嫌を損ねてしまうことが怖かった。
「…その傷……」
彼女の身体に刻まれた幾つもの躾という名の拷問の痕跡に眉間の皺を深くさせたローは何か言おうとするのをやめ少し考えた後に己の服に手をかけ勢い良く脱ぎ始める。
あ、また乱暴にされる、そう思って身を固くした彼女に構わず全裸になったローはその細く弱々しい腕を掴んで引き摺るように洗い場に連れて行く。
怖い怖い、死にたくない、そんな考えをぐるぐる巡らせているミオを強引にバスチェアに座らせるとローはコックを捻り頭から勢い良くシャワーをかけた。
「わっ!!」
「野良犬みてぇな臭いがするから俺が洗ってやるよ。」
そう言うとシャワーを壁にかけシャンプーボトルを手にしたローは小さな背中に視線を移す。
寒さからか怯えているのかカタカタと震える背中に刻まれた烙印、水に濡れて髪が前に流れたお陰で良く見えるようになった彼女の肩甲骨。
痩せているため浮き上がっているそこに恐らく付けられたばかりであろう新しい火傷の痕。
それ以外に幾つもある傷は大きいものから小さいもの、割と新しいものから治りかけのものまで様々あった。
シャンプーをつけ小さな頭を不慣れながらも洗い始める。力加減を間違えれば首を折ってしまいそうだ、ローの手の動きによってユラユラ揺れる頭にローは少しだけ不安になった。
シャンプーをしてトリートメントをしてやればいくらか艶を取り戻した黒髪、ボディソープを手にしたローはまだ震える彼女を気にも止めず肩から腕を撫でるように洗い始める。
「すみません、すみません、お手を煩わせてしまってすみません。」
「気に病むな、ただの気まぐれだ。」
「ごめんなさい、私…あの………えっと………ごめんなさい」
「謝るなら質問に答えろ」
肩の傷を避けて脇や背中を洗うローは謝り俯くミオにそう投げかける。
「この左上腕の傷はどうした? 見たところ裂傷だが」
「そこは…えっと前のご主人様に鞭で…」
「じゃあここは? これは咬傷だろう?」
指で滑るように脇腹をなぞるとピクリと肩を揺らし小さく声を漏らしたミオの様子をローは後ろから覗い見る。
身体が温まったからか、それとも羞恥からか、それとも違うナニかか、彼女の耳は赤くなっていた。
怯えて縮こまり、震えている癖に…
「そこは…前のご主人様のペットの犬に…噛まれて…」
「へぇ……じゃあ…ここは?」
「……っぅ!?!?」
新しくできたばかりの火傷に舌を這わせたローはビクリと肩を跳ねさせ逃げようとする彼女の両手首を掴んで身体を抑え込む。
肩甲骨をジクジクと突き刺す様な感覚と背筋をぞわぞわとナニかが這い上がるような感覚に襲われたミオは身を捩り逃げようと藻掻く。
彼女が藻掻けば藻掻くほどローの中の加虐心を刺激していることに彼女は気付かない。
ちゅっちゅっとリップ音を発てながら唇で弄ぶローはその動作を止めずに片手を彼女の脇下を潜らせると柔らかな膨らみを下から持ち上げる様に揉みしだく。
「ひっ! …んぁ…ローさ、ま…ぁ…」
「答えろよ…」
徐々に反応を示してきた胸の中心を人差し指で弾いたローは細く白い首筋に噛み付く。
甘噛みをしては時折吸い付いたり舌でなぞったりすると耐え切れず溢れてしまう嬌声が切なくてローの加虐心をむくむくと成長させていく。
「あ…ふ、ぅ…も、やぁ! 言う、ので…やぁ! やめっ!」
息を乱しながら弱々しくローの腕を掴んだミオに名残惜しそうにリップ音を発てて首筋から唇を離した。
「今日の、お披露目会…のっために、躾をしていた…はぁっ…だきました」
「躾、ねぇ…他にどんなことされたか聞きてぇとこだが胸糞悪ぃからまた後でにするよ」
「す、すみません!!」
ローの気分を損ねてしまったと一瞬で顔を青くして震える彼女はまた目に涙を浮かべた。
そんなところもローにとっては面白くないようで今までどんな仕打ちをされてきたのかがなんとなく想像できてまた嫌な気持ちになる。
中古を買い取ったのは自分だがこんなになるまで嬲ったチャルロスに対する殺意がローの中で沸々と育っていく。
なんで俺はこんな気持ちになってんだ…買ったばかりの目の前の奴隷に肩入れしている自分がいることに疑問を覚えた。
「身体、洗ってやるよ。」
「そ、そんな…お手を煩わせるわけには!」
「シー…今はこっちに集中しろ」
人差し指を唇に当て子供に言い聞かせる様に静かに囁いたローは彼女を足の間に座らせるようにバスチェアに座り直すとボディソープを追加し後ろから柔らかな腹に手を滑らせる。
あまりにも違う扱いに今までの主人や主人の友人達と新たに主人となったローを比べてしまいミオはこっそり彼を盗み見る。
ご主人様はきっとイケメンってやつなんだろう、前のご主人様とは全然違うし故郷にもこんな風な人いなかった…初めて見るや。体も凄く鍛えてるみたい、若いのに凄いや…前のご主人様やご友人達とは大違いだ。新しいご主人様も私を叩いたりするのかな…
「そんなに見なくても、痛ぇことはしねぇよ。」
「ぁ、ごっごめんなさい…」
バレていたようだ、ちらりと彼女を見返したローはいつの間に足まで洗い終えたのか泡の付いたままの両手を今度は胸に滑らせる。
ピクリと震えた肩にくつりと喉奥で笑ったローは再び赤みを取り戻した耳に唇を近付け態と息を吹きかけるように囁く。
「フッ…乳首、勃ってきたな。ココがイイか?」
「ぁ、うぅ…んっ! …ぁぁ…」
「我慢するな。声、聞かせろ。」
「ぁ…ひゃぅ!」
敏感な先を弾かれて恥ずかしい声が上がってしまう。
いつも行為中いつ殺されてしまうかと考えながら及んでいたためか、こんなにもこの行為だけに集中させられるのは彼女にとって初めての経験だった。
「これから何されるかなんて今は考えるな。今、誰に、何をされて、自分がどうなってるのか、それだけに集中しろ。」
耳元で低く囁かれる声にすらビクリと反応するミオの痩せた膝が悩ましげに擦り合わされる様を見ながらローは耳の輪郭をなぞるように舌を這わせる。
「あぁ! ろぉ…さま…」
キツく手を握りしめたミオはゾクゾクと襲い来る快楽に身体を跳ねさせる。
音で鼓膜を直接刺激するかのように態と水っぽい音やリップ音を発てるローは白い太腿を割るように手を滑らせる。
「待って、そこはぁっ! んぁ…」
「そこは…なんだよ」
「ぅあ…も、だめ、です…」
「駄目かどうかは俺が決める。イイ声で鳴いてろ。」
内腿を撫で、するりと手を這い上がらせる。焦らすように鼠径部を撫でて下腹部を撫でると苦しそうに息を吐き切な気に眉を寄せるミオの米神に口付けたローはやっと待ち望んだ女の中心に指を滑らせる。
「ああっ!! っ、はぁっ…ん…」
まだ割れ目をなぞっているだけなのにビクビクと震えて甘い声を上げるミオは弱々しくローの腕を掴む。
腕を掴まれたローはその手を振りほどこうともせず何の抵抗にもなっていないと知らしめるように節張った指を一本胎内へ沈めていく。
逃げようと腰を捩ってもローに抱き込まれるように身体を弄ばれているせいで逃げることが出来ず、弱い所を探すように動く指にされるがまま。
「凄ぇな、お前のナカ…吸い付いてくる。」
「言わな…っでくださっ…い! 」
「ナカぐちゃぐちゃだな。…聞こえるか? 凄ぇ音…」
指を二本に増やしたローは態と音を立てるように掻き回すと彼女の悦ぶ場所を探すように指をバラバラに動かす。
指の腹で彼女の腹側の壁を押し上げるように触った時、今までとは違う反応をしたミオにローは口角を上げる。
「ココが好きか?」
「違っ…やめて、下さい。お願い…そこは、ダメです!」
焦ったように懇願するミオを無視してローは再びそこを擦る。
ビクリと震え、背中をピッタリとローの胸に預けるように脱力し両手で口を塞ぐように押し当てたミオの片手を空いている片手で掴んだローは耳元に唇を近付け囁く。
「声…我慢するなって言ったろ。」
「ひっん…ごめ、なさっ」
くちゅくちゅと粘着質な水音を発てて胎内を掻き回すローは彼女の弱い所を重点的に攻めていく。
ローの命令通りもう両手で遮られることのない嬌声がバスルームに反響する。
「あ、ゃっだっだめ!! ロー様っ!! きちゃ…っあぅぅっ」
「どうした? ナニが来るんだ? 言わねぇとナニが駄目か分かんねぇな。」
「や、もっやらっ! 我慢、できなっ! ごめ、なさぃ! ごめんなさっ…あ、あ、あっ!!」
「我慢なんてしなくていい。イケよ、ミオ」
身体を震わせて堪えていたミオは遂に堪え切れず胎内を掻き混ぜるローの腕に両手で縋り付くと膝をを抱え込むように折り曲げて絶頂を迎えた。
ローの長い指をキツく絞め上げて吸い付く胎内は子種を搾り取るかのように蠢く。
この
胎内に入っていたのが自身だったなら今ので確実に
射精ていただろう、想像しただけでゾクゾクと背筋を走る快感にローは感嘆の息を漏らす。
やっと落ち着いた彼女の胎内から指をゆっくりと引くと抜こうとする時ですら絡み付き奥へ導くように吸い付く様に彼女が殺されなかったもう一つの理由をローは悟った。
「ごめん、なさぃ…ほんとにごめんなさい!」
「…なにがだ」
「奴隷なのに、勝手にイッてしまって…私、まだロー様に、何もしてないです。ごめんなさい。もう、っ二度と、こんな、ことには…ならないように頑張りますから、っだからどうか…こ、っ殺さないで下さぃっ」
ボロボロ涙を溢して謝罪する彼女の先程まで快感で震えていたはずの身体は今度は恐怖で震えていた。
そんな彼女の様子にローは内心で舌打ちをすると背中から抱き込むように細く小さな身体を抱きしめ震える指先に自らの指を絡める。
恐怖のせいか、先程の行為が冷めやらぬせいかバクバクと脈打つ彼女の心音がピッタリとくっついた肌越しに伝わってくる。
「いいか、良く聞けよ。
…俺は、お前を、灰皿にはしない。
こんな傷も作らないし作らせない。俺以外の男にお前を弄ばせたりしない。」
「奴隷じゃなくて、俺はお前を俺と同じ"人間"として買ったんだ。
だからお前は"奴隷"じゃなく"人"でいろよ。」
恐怖で震えていた彼女の胸にローの言葉がゆっくりと堕ちていく。
このマリージョアにきて数ヶ月、初めて受けた人としての扱いに今度は恐怖ではない違う涙がボロボロと溢れていく。
嬉しい、ここに来て初めて心からそう思えた彼女は止めどなく溢れる涙を何度も拭う。
「ありがと、ございますっ! ありがとう、ございます!!」
こんな言葉一つでこんなにもころころと感情を移ろわせる目の前の彼女に当初の目的とは違う用途で彼女を弄んでしまったことをローは少しだけ反省した。
別に女に飢えているわけではない、彼女を買ったのは彼女にさせたいことがあったから。
未だ涙を溢すミオにローは心中で溜め息を吐くとシャワーのコックを捻り彼女の丸い頭から勢い良くお湯をかけた。
俺の長い、永い夜はこれからなんだ…
そう考えてローは痛み出しそうな頭を軽く振った。
今夜もまたきっと………
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