02.見つけにくいものですか



「江戸入国管理局の者です。先ほど連絡があり、駆け付けました」
「ご苦労様です。案内係が来るまで少々お待ちください」
「了解しました」

さぁ、もう少しでお昼ご飯だ。
ひとまず頑張ろうと思っていた矢先、職場に『不法侵入した天人を捕獲したので、保護してほしい』と電話が入り、呼び出しをしてきた真選組の門をくぐる。

どうやら件の天人は妊婦で、母国とは異なる地球の環境では出産に必要なエネルギーが得られず困っていた矢先にエネルギー減となる血気盛んな男性が大量に寝泊りしている屯所に潜伏していたらしい。
なんと命知らずな…。

「お待たせしました。案内係の山崎です。局長の元までご案内します」
「山崎さん、お久しぶりです。よろしくお願いします」
「本当に久しぶり!元気そうでよかった」
「へへ、おかげさまで」

山崎さんは業務でもあまり被らないので私の中でレアキャラ認定されている。
特有の癒しオーラに癒されているのは秘密だ。

「局長、入国管理局の方をお連れしました」
「おはようございます、近藤局長。ご無沙汰しております」
「おお、ナマエちゃんか!よく来てくれたな!」
「こんな朝っぱらから…入国管理局ってぇのは暇なんですかぃ」
「あんたらが連絡してくるから来たんですよ。そういえば副長殿の姿が見当たりませんが、今日はお休みですか?」
「いや、コンタクト探してらぁ」
「コンタクト…?副長って目悪かったんですね」

ソーチャンが指す方を見ると、見覚えのある朱色の髪をした女の子と眼鏡がいた。

「あれ、神楽ちゃん。新八くんも」
「むぉっ!ナマエアル!」
「ナマエさん、こんにちは。どうして屯所に?」
「新八くんと神楽ちゃんこそ。真選組に遊びにきたとか?」
「こんな奴らと仲良い訳ないアル。仕事依頼してきたから来てやっただけネ」
「お仕事だったんだ。私も仕事だよ。あれ、そういえば坂田さんは?」
「コンタクト探してるアル」
「え、坂田さんもコンタクトしてたの?副長殿とお揃いなんだ。奥にいるのかな?」
「下アル」
「下…?」

まさかと思いつつも神楽ちゃんが指差す縁側の下を覗いてみると、成人男性2名が服につく汚れなんぞ全く気にせず奥に向かって何かを探していた。


「え…えっと…土方副長殿〜、お邪魔しております〜」
「あ?…ああ、もう来たのか」

副長殿は声をかけられて正気に戻ったのか、のそのそと出てきた後に何事もなかったかのようにタバコに火をつけた。
制服が黒いから、砂利の汚れ目立ってるけど…それでいいのか…。

「コンタクトしてらしたんですね。見つかりましたか」
「あ…まぁな」
「見つかるものなんですか。そもそも砂利にコンタクト落とすって訳わからなくないですか」
「るっせぇ!裸眼でも視力いいから別にいらねぇんだよ」
「はぁ…?」

今日の副長殿はどうやらご機嫌斜めのようだ。その証拠に先ほどから言っていることが支離滅裂である。

「ちょっと大串く〜ん、自分の女にかっこ悪いとこ見られちまったからって嘘はいけねぇんじゃねぇの?嘘はさァ」

コンタクトを探していたもうひとりの成人男性も我に返ったようで、縁側から出てきていた。それにしてもいまの発言は聞き捨てならない。

「わ〜副長殿に嘘つかれた〜悲しい〜」
「は!?あいつが嘘ついてんだろうが!そもそも反応するところ、そこじゃねぇだろ」
「そうでさぁ。土方コノヤロー抜け駆けかコロス」
「総悟まで出てくんな、ややこしい!こいつとは別にそんなんじゃ…」
「はいでた大串くんの青春まっさかりィ〜!」
「盗んだバイクで走りだす前に大きい絆創膏で包んであげてェ!」
「テメェらいい加減その話から離れやがれ!」
「マヨラー!お前、ナマエとあんなことやこんなことの関係だったアルか!?」
「違ぇつってんだろがチャイナ!」
「ウチの神楽ちゃんに刺激強いこと教えないでくれる?」
「万事屋!トシはやるからにはちゃんと責任を持つ男だ!そんな破廉恥な関係なはずねぇ!」
「頼むから近藤さん黙っててくれ、そんなんじゃねぇって…!」

土方副長殿って案外いじられキャラだったんだなぁ。新発見。
鬼の副長をいじれるのはミョウジさんぐらいだよと言われた頃が懐かしい。
今後私が強めにいじっても他の人もいじっているから大丈夫そうだな。よかった。

「おい、お前も少しは否定しろ!お前が否定しねぇからあいつらも信じこんでるんだろうが!」

「…真選組と万事屋さんって仲良いんですね」
「「「「それはない(アル)!」」」」


仲いいんだなぁ

  

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