16
ふ、と意識が浮上する。
ぼうっと働かない頭でちらりと隣を見れば、真っ白なシーツが視界に入る。
何がなんだかよくわからないけれど、あたりは真っ暗だし、私はベッドに寝ているし。
どうしようもなく眠いし、このまま寝てしまえと寝返りを打って、
「は」
すやすや寝息を繰り返す。
長いまつげが揺れる。
ひい、と吸い込んだ息が情けない声を上げる。
「ん」
おきたのか。
半分ほどしか開いていない青みがかった瞳が、ぼんやりとわたしを捉える。
「まだ、ねて……」
さらり、と髪をなでて、私の頭を抱き抱えて。
低い声が、ぼそぼそと耳元でひびく。
厚い胸板に、心臓が早くなる。
な、なんだこれは。
「は、はなしてくださ、」
小さな声で、ゆるく胸板を叩いてみる。
目の前の彼は、少しだけ身じろぎして、不機嫌そうに私を見下ろす。
(ひ)
怖気付いた私と、眉を寄せたカラ松さん。
見つめあっていたのは多分、一分にも満たなかったと思う。けれど。
「んむ」
荒々しく重ねられた唇に、急速に頭が冷える。
なんで、なんでどうして。
またか!
「はっ……ちょ、んんっう」
ぬちゃぬちゃと激しい水音が響く。
カラ松さんの舌、おそ松さんのより分厚い。
どこか冷静な頭が、それどころではないはずなのにバカみたいな感想を漏らす。
歯列をなぞって、舌を絡めて。
唾液が口の端から漏れて、甘ったるい喘ぎ声が鼻を抜ける。
「……はは、かわいい」
ぐい、と着ていた服を捲られて、ブラジャーが顕になる。
大きな手のひらがホックを外して、私の胸を無遠慮に揉みしだく。
「か、らまつさ」
するり、とショーツに伸びた手のひらに、体がこわばる。
な、なんでなんでなんでなんで。
や、やくそくとちがう。
ふ、と視界の済でカラ松さんが色っぽく笑って、首筋に顔を埋めて。
れろ、と生暖かい感覚が首元を伝って、無骨な指がショーツのゴムを引っ張って、
(ひぃ)
ぬぞ、と誰にも触られたことのない場所に、手のひらが滑り込む。
ぎゅうと目を瞑って、唇をかんで、拳を握りしめて。
しかしいつまで経っても、カラ松さんがそれ以上動く気配はない。
「え」
すぅすぅと耳元で響く寝息に、思わず脱力する。
嘘でしょう。
寝息に合わせて小さく揺れる長いまつげをまじまじと見つめて、スゥっと頭が冷えるのがわかる。
ありえないでしょ、この人。
だけどわたしも人のことを言える義理はなく、ほっとした安心感に、そのまま目を瞑ってしまった。
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